今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 873)背脂中華そば featuring 黒海苔

 

寒い地方は、温かい麺料理がおいしい。言わずもがなの北海道、侮れない山形、不動の四番喜多方を擁する福島など、枚挙に暇がない。で、本日は新潟ラーメンである。

 

東西にも南北にも長い新潟なので、ひと口に新潟ラーメンと呼べるものはなく、群雄割拠で各地域にご当地ラーメンがあるらしく、ググると四大とも五大とも出てくる。

 

長岡生姜醤油、新潟醤油、新潟濃厚味噌、燕背脂、三条カレーを五大ラーメンと呼ぶらしい。燕三条は駅名や金物の印象で一緒くたに思うけど、個性バチバチなのだ。

 

こちらは都内某所の燕背脂ラーメン店。店前の券売機では「燕系といえばこれ」と黒海苔トッピングが推されている。ローカロリーなので問題なし、唯々諾々と従う。

 

やってきたのは岩のりがたっぷりの一杯。なるほど、こうきたか。生玉ねぎをスープに漬け込んでから、スープをひと口。煮干のダシが濃くて思わずもうひと口ゴクリ。

 

表面を覆う背脂は、雪深い新潟の象徴だろうか。その下から麺を取り上げると、かなり太めで、稲庭うどんほど。もちもちで食べごたえ十分。脂が危険なほどおいしい。

 

やはり寒い地域のラーメンは温まるな。スープに溶ける前に海苔をつまめば、ザクザクとした歯ごたえがあって楽しい。卓上にはコショウもあるけど、一味のほうが合いそうなので、パラパラとふりかける。

 

脂のサシの美しいチャーシューは、予想通りおいしい。サクサクのメンマ、熱の入った玉ねぎ、溶け出した海苔の香りなどが、渾然一体となって味蕾を喜ばせてくれる。

 

丼ぶりに残るのは、流氷のような背脂と、間に間に浮かぶ黒い海苔。なるべく丁寧に海苔をつまみ上げて、レンゲにのせては食べてゆく。ギラギラの唇がおいしさの証。

 

ごちそうさまでした。