天気もいいので、甲羅干しがてら動物園へ。
ひとり焼き肉、ひとり植物園、ひとり水族館と大人の階段を登り、中島みゆきばりのひとり上手になりつつありますが、ひとり動物園はお初です。どうせ散歩するなら、電線が見えない自然のなかが気持ちいいじゃないですか。
思いがけない暖かな冬の休日を活かそうと、親子連れやカップルがほとんどですが、カメラ愛好家の男ひとり客もチラホラ。一眼レフを下げていない私は「子どもと別行動中のお父さん」を装うも、無精ひげをそってくるべきだったなど、にわかに自意識ばかり過剰になります。大丈夫、通報レベルには怪しくないぞ、と自分に言い聞かせてゲートをくぐります。
で、肝腎の動物たちですが、この時期には珍しいうららかな陽気で、だらしなく昼寝をしていることが多く、興味深く観察しました。
まずはイノシシ。入口近くにいるし、せっかくの干支なので挨拶に行くと午睡中。「野生のブタ 野性なければ ただのブタ」ともぞう、心の俳句。
おとなりのシカ。お尻が❤︎マークに見えるのがかわいい。もちろん、はしゃいだりせず、ひとり冷静にかわいい、と思う。
寝ているバクやフクロウを観たのち、サイ。もりもり草を食んでいる。お隣りさんが「サイって草食べるんだ」と言っていたのが印象に残る。確かに義務教育では教わらんもんな、そんなこと。
お次はオランウータン。妻がずっとオラウータンだと思っていたオランウータン。森の賢人の二つ名の通り、実際はどうかわからないけど何か思索に耽っていそうな面構え。人間にもいますよね、こういうタイプ。
えらい片隅に展示されているレッサーパンダまで足を運ぶ。もともとパンダと呼ばれていたのに、ジャイアントパンダが見つかったから「レッサー=劣っている」と呼ばれるようになった悲劇の主人公。でも、可愛い。また、妖怪「鵺(ヌエ)」の正体とも言われる。でも、可愛い。
日本で唯一という、タスマニアデビル。珍しく起きて動いている。OL 風が「かわいい~デビルなのに」と騒いでいたけど、確かに可愛い。小悪魔的な? 娘と来ていたら私もひとしきり騒ぎたいくらいだ。
で、アジア象。戦時中にのび太の叔父さんを助けてくれたんだよね。歳がバレるね。
トラやワラビーを見つつ丘を越え、いよいよコアラ館に。ひと棟まるまる与えられているあたりに、彼らの格付けが窺える。「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」。中に入ると珍しく寝ておらず、顔を上げているだけで騒がれ、シャッター音が響く。これぞ客寄せパンダだな、コアラだけど。
そして、暖をとりつつ集団で眠るカンガルー。サウナか、ここは。筋肉ムキムキだけど、寝てる。たまに上体を起こしたと思えば、下半身をかいてまた眠る。渡辺美里がセンチメンタルカンガルーと歌ったのは、どの動物のことだろうか、というくらいだらしない。
シマウマ。サバンナだとかえって見つかりにくいというシマも、動物園では単なる白黒。パンダやペンギンがうまいこと塗られて可愛いに分類されたのに対して、本当に単なる縞々。キン肉マンゼブラなんて、出てきた途端にやられ役だとわかったもんな。何の話だ。
その隣にいたモウコノウマ。モンゴルの野生種とかで、チンギスハンがまたがっていたのかな、なんて思っていると、それはモウコウマという別のウマだとか。ややこしいな。
アフリカ象。砂浴びをしているところは初めて見ました。耳が大きいのがアジア象との鑑別点。熱が逃げやすいんでしょうね、アフリカのほうが暑いだろうし。
そしてライオン。百獣の王も、ライオンバスの工事中で隅っこに追いやられています。そして、だらしなく寝ています。これぞ眠れる獅子って、清か。まあ冬のライオンだから、ほんの少しだけ眠らせてあげよう。
生まれたてのサーバルの赤ちゃんを観たかったけど、えらい人だかりになっていたので早々に退散。昆虫館で蝶と戯れる。ここは、夏にくると蒸せ返すような熱気にやられるんですよね~冬とはいえ上着の前を開けるくらいには暑いですが。
さて、帰り際にソフトクリームでも食べようかと思うも、フードコーナーは長蛇の列。これだけ暖かければ、みんな出かけてきますよね、そりゃ。
仕方ないので飲まず食わずを決意して、入り口に近くの建物でパンダの剥製をパチリ。ランラン、カンカンだとか。むかーし上野に観に行ったときは、えらい遠くからだったけど、こんなに近くにいるなんて。パンダ外交、バンザイ。
適当に流し観たのにもう2時間経ってます。これで 600 円ならお安い娯楽だな。まして子どもはタダなんだから、もっと行くべきですよ。たちあがれ、都民よ! なんて思う。
あと数十年もすれば、これらの動物たちも気軽に観られないかもしれないなんて報道もあります。動物園に行くことでそれを少しでも遅らせられるなら、協力したいなぁと思いますが、子どもも大きくなったし、足が遠のくのもまた事実。
でも、妻とデートで行くな、きっと。
いい散歩でした。