食事にもスランプがあるのか、特に食べたいものが浮かばない。ふらふら歩くも、目的地も定まらず、これは徘徊ともいえようか。どうしよう。
そんなとき、古きよき喫茶店が目に入る。そうだね、こんなときは初心に返ろう。どの時点を初心というかは微妙だけど、上京した18歳の頃かな。
メニューを見るでもなく、注文はナポリタン。水を飲みつつ、ふと右を見れば前客もナポリタン。左に運ばれてきたのもナポリタン。大人気です。
老若男女、ナポリタン好きだよねえ。初心というか、童心に帰れますしね。ほどなく厨房から派手なジュウジュウ音が聴こえてきて期待が高まる。
やってきたのは食品サンプルのような、理想的なナポリタン。玉ねぎ、ピーマン、ソーセージ、マッシュルームなど、具材は王道にして覇道。
フォークでクルクル巻いて、まずひと口。これでもかとケチャップをまとい、幼い頃を思い出す。家庭で食べるスパゲティって、こんな味だった。
途中でタバスコをザブザブ振りかける。これは青春の味。タバスコを覚えた18歳の春を思い出す。そして粉チーズでまろやかに中年の胃を労る。
おいしいな、ナポリタン。ナポリにあろうとなかろうと、どうでもいい。間違いなく和風スパゲティの東の正横綱。西の横綱はタラコスパかな。
おいしく食べた後は、ホットコーヒーでひと息つく。違いのわかる男ではありませんが、古きよき喫茶店は堪能。食事のスランプ脱出できるかな。
ごちそうさまでした。