今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 861)スパゲティミートソース

 

昭和生まれなのでスパゲティといえば、ナポリタンかミートソースの2択であった。なんなら塩コショウのみの素スパゲティを加えた3択で、いずれも思い出深い。

 

大学で上京して、初めて食べたカルボナーラの衝撃は忘れない。東京にはこんなにおいしいものがあるのか。世はイタ飯ブームであり、田舎者にはキラキラ眩しかった。

 

大学近くの喫茶店で食べたコンビーフスパゲティ、新宿の洋麺屋五右衛門のたらこスパゲティ、カプリチョーザイカスミパスタ。そう、パスタの語すら知らなかった。

 

そんなバブルを知らない団塊ジュニアも五十代にさしかかっている。人口と消費のボリュームゾーンを狙い、ガンダムだの、ドラゴンボールだの、いまだ再生産が続く。

 

で、前口上が長くなったけど、本日のランチは喫茶店のスパゲティ。愛煙家が集い、紫煙が立ち込めるなかで食べるスパゲティは、平成初期を思い出す雰囲気です。

 

ナポリタン、ミートソース、きのこ、たらこ。メニュー表のメンバーも、いかにも喫茶店で嬉しくなる。悩んだすえ朝見た星占いのラッキフード、ミートソースを選ぶ。

 

やってきたのは、全体にミートソースがからんだボロネーゼ風のひと皿。パスタは待つな、そんなイタリアの格言どおり、真っ先にスパゲティをフォークに巻きつける。

 

ひと口大のかたまりをパクリ。ひき肉のキシキシした食感が楽しく、トマトソースの旨みがたっぷりとスパゲティにからんで間違いない味。お次にミニサラダを食べる。

 

サラダの清涼感で舌をリセットしたのち、再びスパゲティをグルグル。さすがにズルズルと食べないのが、ポストバブル世代の矜持です。途中で粉チーズをかけて味変。

 

1+1が3にも4にもなる組み合わせ、チーズの濃密な香りに舌が小躍りする。ここでタバスコをたっぷり振りかければ、日本の純喫茶式スパゲッティの完成ですよ。

 

私自身は元喫煙家ですが、会社でタバコを吸えないひとが集まるこちらは、実に趣き深い。タバコ税をたくさん支払った大学の頃を思い出しつつ、コーヒーを飲み干す。

 

ごちそうさまでした。