今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 555)くじら刺身定食

 

 

むかし理科で習った進化の過程は、魚類両生類爬虫類鳥類・哺乳類といった流れだった。海で生まれた生命が、やがて陸、空に届いていく大自然の営み。

 

ところが最近では、両生類から爬虫類と哺乳類が枝分かれしたと教えているらしい。恐竜は絶滅したわけではなく、鳥類として姿を変えてしぶとく生き残っているとか。

 

そんな進化の不思議を思いつつ、くじら刺を注文する。再び海で生活することを選んだ哺乳類。陸生哺乳類ではカバに近く、浮力があるので巨大な躯体にたどり着いた。

 

捕鯨、鯨食については、わが国と西欧諸国には相いれない溝がある。生態系保護の観点もわかるけど、かつてコルセット用の鯨のヒゲ欲しさに乱獲した時代もあった。

 

多文化共生の理念でいえばほっといてくれと思うけど、食事の場に政治の話は相性が悪い。目の前の刺身のおいしさに間違いはないから、じっくりと味わいましょう。

 

生姜醤油をチラリとつけて、パクリ。ねっとりした食感なのに歯切れがよい。当たり前だけど、マグロなどの魚より、馬刺しに近いよね。焼酎が恋しくなる味わいです。

 

とはいえまだ日は高い。午後のお仕事もあるので、白米で欲望を代替する。ふた切れ目はニンニクを少しのせてから生姜醤油をつける。なおのこと、焼酎が恋しいぜよ。

 

くじらがカバに近いならば、馬刺しならぬカバ刺しもこんな食感かな、などと夢想する。いろんな兼ね合いはあるけど、捕られて捌かれたからには、食べるべきですね。

 

赤身肉で低カロリー、栄養分もバッチリなので、本日のランチとしては上出来です。くじらの竜田揚げを食べて育った昭和の子なので、躊躇いよりも郷愁が先立ちます。

 

ごちそうさまでした。