むかし理科で習った進化の過程は、魚類→両生類→爬虫類→鳥類・哺乳類といった流れだった。海で生まれた生命が、やがて陸、空に届いていく大自然の営み。
ところが最近では、両生類から爬虫類と哺乳類が枝分かれしたと教えているらしい。恐竜は絶滅したわけではなく、鳥類として姿を変えてしぶとく生き残っているとか。
そんな進化の不思議を思いつつ、くじら刺を注文する。再び海で生活することを選んだ哺乳類。陸生哺乳類ではカバに近く、浮力があるので巨大な躯体にたどり着いた。
捕鯨、鯨食については、わが国と西欧諸国には相いれない溝がある。生態系保護の観点もわかるけど、かつてコルセット用の鯨のヒゲ欲しさに乱獲した時代もあった。
多文化共生の理念でいえばほっといてくれと思うけど、食事の場に政治の話は相性が悪い。目の前の刺身のおいしさに間違いはないから、じっくりと味わいましょう。
生姜醤油をチラリとつけて、パクリ。ねっとりした食感なのに歯切れがよい。当たり前だけど、マグロなどの魚より、馬刺しに近いよね。焼酎が恋しくなる味わいです。
とはいえまだ日は高い。午後のお仕事もあるので、白米で欲望を代替する。ふた切れ目はニンニクを少しのせてから生姜醤油をつける。なおのこと、焼酎が恋しいぜよ。
くじらがカバに近いならば、馬刺しならぬカバ刺しもこんな食感かな、などと夢想する。いろんな兼ね合いはあるけど、捕られて捌かれたからには、食べるべきですね。
赤身肉で低カロリー、栄養分もバッチリなので、本日のランチとしては上出来です。くじらの竜田揚げを食べて育った昭和の子なので、躊躇いよりも郷愁が先立ちます。
ごちそうさまでした。