今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 141)冷やし黒胡麻坦々麺

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ふだん、消化管というものを意識して生きていない。何というか、勝手に動いてるし、具体的に指示を与えられるわけでなし。


しかし、哺乳類なんて極端に模式化すれば円筒になるわけで。外側が皮膚なら、内側が消化管。


そう思えば、よきにはからえ〜ではいけないな。彼らもまた「外界と接触」している最前線なわけだしね。


能書きはさておき、涼しくなっても辛いものが食べたいのは、空調で不当に冷やされたカラダが、夏らしさを求めているのではないかと思う。


そんな、何の気なしに頼んだ黒胡麻坦々麺。冷やしだからそんなに汗をかいたりはしないだろうとタカをくくり、箸をのばす。


おや、麺がすでに黒い。この場合、黒要素は胡麻ではないかと思われる。では、ざっくり混ぜて、ズルリと勢いよくすする。


おっ、黒胡麻やナッツの香りが鼻腔をくすぐり、まずはおいしい。しかし、口の中では、ラー油と香椒が張り切ったと思われる、辛さとしびれが暴れ出している。


カイワレ、もやし、キュウリの抵抗むなしく、ひと口ごとに刺激が俺を責める。ココロ、カラダ、よみがえる。そんな、青いイナズマのような刺激たち。黒いけど。


ひき肉はおいしいけど、どうもここにしびれがいるようで、逃げ場なし。

360 度、全方位カラシビ。うれしい、おいしい、カラシビ。


水をチビチビ飲みつつ、食べてゆく。麺が冷え冷えのおかげでデコ汗は出てこないけど、胃が熱い。ホットサマーが腸に来ています。


皿の底にはラーユ海。イタリアあたりの内海にありそうな名前ですが、ここは日本の中華料理店。

残り少ない麺にまぶしつつ食べると、胃腸にトドメを刺した気分。


頭と心はおいしいと言っているのに、内臓はシャレならんぞと抗議してくるような、アンビバレンツなランチでした。


そして、明くる日。胃カメラを飲むと胃に黒い点々が。


なんの重篤な疾患かと覚悟すると、医師はさも退屈そうに「あー、きのう辛いもの食べたでしょう?  これよくあるんですよねー。出血のあとです」とのこと。


しみじみ、たまには胃腸も労わらなきゃと思ったとサ。連続して激辛なんて、頭は満足、心は天国、胃腸は恨み節、なんだね。


ごちそうさまでした。