今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 1013)玉子きしめん in 鈴一 at 横浜駅

 

4月に夏日なんて、地球温暖化なのか、暖流が蛇行しているのか。汗ばむ陽気のもと、久しぶりに横浜駅を訪ねれば、相鉄の星のうどんにはシャッターが降りている。

 

首都圏では貴重な博多うどんを出してくれて、なかでもごぼう天うどんが絶品だったな。亡き母の見舞いの途中で寄った記憶が思い出され、少しおセンチになりました。

 

汗で失った水分と電解質を補うべく、駅前の鈴一へと。こちらはわずかなカウンターのみで、基本は完全立ち食いのストロングスタイル、文字通りの路麺店なのです。

 

おじさんたちが丼を片手に持って食べる光景は、どこかユーモアのある絵面ですが、私自身その風景のひとつとなる。きしめんの食券を提出し、程なく丼を受け取る。

 

大好きなのよね、きしめん。麺の組成はうどんと同じだけど、独特の平べったさ、いわば縦横があるのがいい。唇との接地面が広いぶん、熱が伝わってくるのが楽しい。

 

本場の名古屋なら、澄んだダシに花かつおが舞うけど、こちらのツユはやや黒っぽい関東風、これはこれでおいしい。軒先のテーブルにいったん丼を置いて水を飲む。

 

そうするうちに玉子に熱が入り、どんどん白身が固まっていき、ツユの熱さがよくわかりますね。丼を両手で持ち上げて、ツユがこれ以上濁らぬように、白身をツルリと。

 

思ったとおりツユが熱く、お腹が熱くなり、さらに汗ばんでくる。きしめんを啜れば、ヒラヒラ、ピロピロと軽やかに、舞うように口に飛び込んできて、やはり楽しい。

 

黄身を隅に寄せたあとは、ひたすら箸を動かし、たまにツユをゴクリと。外国人観光客もおらず、オジサン率の高い食事風景は、ひと昔前の場外馬券売り場のようだ。

 

ウインズ浅草、錦糸町あたりの鉄火場、いやいや野毛のウインズ横浜も捨てがたい。などと思いつつ半分ほど食べたところで、黄身を箸でひと突きして、麺に絡ませる。

 

黄身がツユに溶け切る前に、一気に啜り終えるのだ。ブルーハーツの歌詞にありそうな、まぶしいほど青い空の真下で食べるメシは、カロリー以上の熱量をもらえます。

 

ツユを完飲せぬまでも、すっかり食べ終えて、水をぐいっと飲み干す。10時を過ぎていよいよ人出の増えたターミナル駅へ向かい、崎陽軒のシウマイでも買おうかな。

 

ごちそうさまでした。