久しぶりの立ち食いそば。日常ってこんなもんだったとありがたく、うれしい限り。まだまだ、気の緩みは大敵だけど、店も応援しなきゃ。
ともあれ、久しぶりすぎてどの種物にするか悩ましい。逡巡の結果、春菊天をチョイス。小銭がちょうどよかったからだけど、選択に悔いはなし。
そばを取り出し湯にくぐらせ、チャッチャと湯切り。丼ぶりにそば、天ぷら、ネギを盛り付けオタマ一杯ぶんのツユを注ぐ。所作に見惚れちゃう。
かぐわしきダシの香りを楽しみ、まずはひと口ゴクリ。そうそう、これこれ。濃い目の味つけがたまらんですね。さて、いざ箸を割らん。
七味をかけ、天ぷらをひと突きしてツユを染み込ませる。やおら持ち上げてガブリ、ほろ苦で青臭い、春菊ならではの生命力をじっくり楽しむ。
あとは一気呵成にズルズル食べていく。汗が出てきたところで、セルフの水を忘れていたことを思い出すも、もういいや、そばをやっつけよう。
カウンターに置いてあるスポーツ新聞に目を落とし、さも、無味無乾燥な日常のようにそばを手繰りつつも心のなかは歓喜にあふれる、そんな朝。
店のオバチャンはもはや何万杯を配膳してきたことか。私はその砂浜のひと粒でしかないが、久しぶりのこのおいしさは、忘れられないな。
瞬く間に食べ終え、ツユは心持ち残し、ごちそうさまと丼ぶりをカウンターに戻す。なんでもないようなこの幸せ。うれしい、楽しい、大好き!
ごちそうさまでした!