寒くなると、春菊がおいしい。おひたし、すき焼き、天ぷらなど、独特の苦味が恋しくなる。調べれば11月〜2月くらいが旬だとか。
ではなぜ「春」菊なのか。春先に菊に似た花を咲かせるから春菊らしい。関西では菊菜と呼ぶそうで、確かにそのほうがわかりやすい。
ともあれ、食べようと思えば年じゅう食べられるけど、やはり旬は更なり。昼時の混み合う立ち食いそば屋に場所をみつけ、潜り込む。
春菊天だけでもいいけど、栄養を考えて玉子をつけておこう。水を汲むうちに手早くそばが用意され、カウンターに運んで箸を割る。
マスクを外せば、やさしいダシの香り。まずは丼ぶりを持ち上げて、ツユに溶ける前の、まだ冷たいままの白身をツルリと飲み込む。
そばをいく筋かたぐったのち、お待ちかねの春菊天をば。茎も葉っぱもサクサク食感で、いわば少しほろ苦のスナック菓子ですね。
春菊天を端に寄せてそばを一気に攻める。途中で七味をふれば、ますますおいしい。煮えた頃合いで黄身を割り、そばボナーラを楽しむ。
そばが少なくなると、必然的に春菊天はツユに沈んでいく。クタッとなった頃合いでかじりつけば、ジュワリとツユを含んで、尚おいしい。
人気店なのでお昼時は活気にあふれます。「山かけの〜うどん!鮭おにぎりつき」。耳に飛び込む意外な組み合わせが参考になります。
ともあれ、立ち食い店に長居は野暮天。おいしく食べたら、ツユを幾分か残して下げ膳する。外は肌寒いけど、それもそばの味のうち。
ごちそうさまでした。