ふと財布をみると小銭しかない。いつもの定食屋はPASMOが使えないし、日高屋にしよう。PASMOには数千円分入っているけど、なんとなく現金の許す範囲で選択。
唐揚げ定食やニラレバには届かず、いつもの野菜たっぷりタンメンかな、と思っていたところに五目あんかけラーメンが目に入る。おいしそうなうえに、予算内だね。
小さなころ、家族で寿司を食べに行って、父が財布を会社に忘れた、と言い出して、母親が払った記憶が甦る。クレジットカードもない時代、幼心に心から焦ったっけ。
父の勤務先近くで馴染みの店だけど、財布を忘れたことにして家計を握る母の財布から出させたんだろうと今なら推測できる。なんなら、会社にとりに行けばいいしね。
でも「無銭飲食」の言葉すら知らなかった幼な子には刺激的すぎる経験だったな。いまだに、店に入る前には財布を持っているのを確認する習慣が身に染み付いてるし。
思い出はともあれ、本日の特撰メニューの到着。いかにも熱々なあんかけをまずはレンゲで少し舐める。予想通りの粘度と温度にうなずきつつ、うずらの玉子をパクリ。
いま鶏卵はお高いけど、うずらの卵はどうなんだろう。舌の上でしばらく転がしてから奥歯で噛みしめる。小さくともひと口に白身と黄身を堪能できるのかありがたい。
あんの下からそろそろと麺を取り上げ、やさしくすする。唇がヒリヒリするほどアツアツで、トローリと箸が重いほどあんが絡んでうまうま。ここで豚肉をひとつまみ。
いよいよ野菜を食べるべくレンゲを駆使。白菜、人参、ブロッコリー、キャベツ、玉ねぎ、かまぼこなど、多種多様な味わいにご満悦。熱の入ったキャベツが甘いこと!
お酢と悩んだけど、ラー油をひと回し垂らして、味変しつつ食べてゆく。おっ、あんの中から小エビを発見。プリプリを楽しんでいると、あんがゆるくなってくる。
こうなると俄然食べやすくなるけど、いかんせんあんかけ感は薄まる。少し寂しさを覚えつつ、スープの抵抗がなくなりようやくすすれるようになった麺をやっつける。
サンドウィッチマンのラジオで好きなあんかけ料理を聞いていたけど、私なら中華丼だなぁ。などと思い出しながらゆっくり完食。財布を確認してから、レジに向かう。
ごちそうさまでした。