かき氷、高校野球、帰省ラッシュのニュースなどはこの時期ならではの夏の風物詩である。最近は気の早い台風情報も加わり、なくなりつつある季節感を彩っている。
といいつつもかき氷は専門店も増え、通年楽しむスイーツになりつつある。雪見だいふくが出てくるまでアイスを冬に食べる発想がなかったように、常識は移ろいゆく。
空調のきいた部屋にいることの多いサラリーマンとしては、季節がわかりにくい。それでも、スーパーの売り場や、飲食チェーンの季節商品などが、暦を教えてくれる。
この時期ならば戻り鰹や梨が出てくるし、秋刀魚や牡蠣もそろそろだろう。逆に冷やし中華や冷やしそばなどは、暑い期間が延びたとはいえ、そろそろお別れが近い。
たとえば、箱根そばの豆腐一丁そば。文字通り豆腐が一丁のせられており、涼がとれるだけでなく、腹もちも最高である。しかし今季はタイミングが合わず未食である。
で、職場の近くにて冷やしたぬき豆腐そばをいただく。コンセプトは同じ、ヘルシーかつクールなひと品は、オジサンには嬉しいのよね。まずは、豆腐を角からパクリ。
麺つゆの控えめな塩味が、大豆の甘味を引き立てます。サクサクの揚げ玉も食感がよく、きゅうりの清涼感と相まって夏らしい味わい。そばをすすれば、喉越し爽やか。
やがて崩れゆく豆腐も、これまた喉越し爽やか。冷やっこを食べる習慣がないのだけど、揚げ玉のせのたぬきやっこは定期的に食べてもいいかもしれない、そう思う。
小さな頃の夏休みといえば「午前中の涼しいうちに宿題やりなさい」の母親の声を思い出す。日本の夏はすっかり亜熱帯なのでもはや「涼しいうち」はなくなりました。
まあ、万物流転、すべては移ろいゆくものです。人生、あと20年あるとして、亜熱帯の夏にも慣れないといけない。はたしてあと何回食べるのかな、豆腐そばを。
ごちそうさまでした。