今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 898)証城寺そば in 豊しま

 

 

はじめに書くけど、こちらの店に証城寺そばというメニューはない。たぬきが月見をしているので、揚げ玉と玉子がトッピングされたそばを、私が勝手に名づけている。

 

ブログを書くにあたって、基本的に店のメニュー表記に忠実に倣うようにしている。「かれー」「らぁめん」なども、店の個性の発露と考えれば、味の一部とすら思う。

 

そこを「証城寺そば」と書くのは、むじなそばのように人口に膾炙すればいいなというひそかな野望もあるけど、たぬき+玉子の組み合わせが好きなのが前提である。

 

以前は木更津にある證誠寺にちなんだ表記としていたけど、今は童謡の証城寺から漢字をとっている。まあ、全くもってそばと関係のない、個人的なこだわりですが。

 

さて、メニューはない証城寺そばを「たぬきに玉子、おそばで」と口頭で注文する。手早くそばの湯通しが開始され、水を汲むころにお釣りとともにそばが提供される。

 

壁際のカウンターまで運んで、一味をハラリと振りかけて箸を割る。まずは丼ぶりに口づけして、白身をつるりといただく。熱くて塩っぱいツユが白身にちょうどいい。

 

白身の衣を剥がされた黄身は、どんどん熱が入ってゆく。闇の衣を剥がされたゾーマのようだな、などと昭和の中坊な感想を抱きつつ、半熟を待つべくそばを啜り込む。

 

ツユも熱いけど湯通しされた麺はさらに熱い。ハフハフと熱を逃しながら、いかにも立ち食いらしい硬質な食感のそばを堪能する。逃げてゆく揚げ玉もまた、味のうち。

 

半分ほど食べたところでぷっくりした黄身をひと突きすれば、濃厚な黄身がどろりと溶け出し、そばとともにしっかり味わう。この香り、この味こそ月見の醍醐味よ。

 

胃が温まるころに、すっかり完食。濃いめのツユの余韻と一味の刺激を、グラスの水で洗い流して下膳する。大通りにでれば、心地よい風が吹いていて、汗を冷ます。

 

あ、写真では月が下になってる。

 

ごちそうさまでした。