どんな季節だろうと風邪はひく。
小さなころは、母親が消化によいものをと、お粥やリンゴのすりおろしを用意してくれたっけ。
いいオトナなので、養生も自らせねばなるまいと、混み合う蕎麦屋で鍋焼きうどんを注文。
いつもはキビキビしている店員さんが「鍋焼き…ですか?」と聞き返すのも無理はない。こんな陽気に熱々を求める奇矯な人がいるなんて。
ともあれ、こちらの鍋焼きは、長ネギの斜め切りが入っていなかったと記憶している。味はともあれ消化に悪そうだしね、長ネギ。
さて、ほどなくやってきました鍋焼きうどん。何というか、用意できるもんだな〜さすが外食産業と感心しきり。
まずは、ツユをひと口。うん、みりんがきいて甘いね、やさしいネ。
シャキシャキの水菜はグツグツのツユに漬け込んでおこう。卵は煮えないうちに取り出して、取り皿で崩す。
そう、すき焼きのようにつけながら食べる算段さ。
3枚も居並ぶカマボコを食べ、熱々のツユを吸ったお麩をかじる。熱い! 当たり前だけど、赤いきつねのお揚げ状態、熱いに決まってる。
ひきずりうどんよろしく、うどんをとりだしてはズルズル。消化のよさがテーマなんだから、うどんとはいえ油断せずによく噛む。
おや、ゆず皮発見。こんなひとかけらなのに、すごい風味を発揮するよね、キミは。いつもなら食べてしまうけど、消化にわるいから今日はお残りさんやで。
さて、エビ天。ツユを吸ってモロモロの衣がステキやん。衣とうどんでミニたぬきうどんをこさえつつ、ズブズブ食べる。
もちろんエビの中身もよく噛んでいただく。クタクタに煮えた水菜もこの辺でやっつけておこうかな。
…尻尾。いつもならバリバリと食べてしまう尻尾。許せ、今日ばかりは居残りしてくれ。また、必ず食べにくる。そのときは、まるっと食べ尽くすから、堪忍や。
などと食べ尽くしてしまえば、汗が噴き出し、ロマンティックばりに止まらない。
風邪も逃げ出しそうな胃の灼熱地獄。体温上げれば、ウイルスも死に絶えよう。オレの、勝利だ。
…暑くて仕方ないけどね。
ごちそうさまでした。