今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 506)天とじそば

f:id:socius_lover:20210402133556j:plain


気ぜわしいお昼どき、軽くそばでもたぐろうとノレンをくぐるも、いざダシの香りをかぐと、それなりにボリュームがあるものが食べたくなる。


夜がカレーだから丼ぶり飯ものは避けて、壁のメニューとニラメッコ。ボリューミーなら鍋焼きうどんもあるけど、今日は鍋焼き気分にはなれず。


よし、温そばエリアの最高峰、天とじにしよう。エビ天に玉子がつけば、中年のお昼の栄養ならお釣りがくるゾ。そうと決まれば、さっそく注文。


サクサクの天ぷらを卵でとじてしまう背徳感は、カツ丼にも似た破壊の美学ですね。チベット僧の砂曼荼羅にも通じる諸行無常、とは言い過ぎか。


そばの上には、一面のかき玉子。濃いめ、甘めのツユが思い出されて生唾をゴクリ。七味をパラリと振り、フワフワの玉子をそっと持ち上げる。


そろりと口に運べば、やさしさの玉手箱。フワフワ、チュルチュル、トロトロ、さまざまな玉子の食感、みりんの甘みはだし巻き玉子にも通じる。


わずかにのぞく尻尾から海老天を探り当て、端っこをパクリ。ツユを存分に吸い込んだしっとり、もちもちの衣は、比肩するもののない食感。


中身のエビは、周囲の喧騒をよそにプリプリ。肉厚というのか、まん丸に太った身は歯を押し返してくる。海産の淡白な旨みをしっかり味わう。


ようやくたどり着いたそばは、いつも通りおいしい。スルスルたぐってツユをゴクリ、嗚呼シアワセ。口が甘くなったところに水をゴクゴクと。


ごちそうさまでした。