ざる、もり、せいろ。海苔の有無や器の違いがありますが、大きくいえば、つけ汁にくぐらせて食べるそば。暑い季節においしいメニューです。
こちらの天ぜいろは、冷たくしめられたもりそばを、熱いつけ汁につけていただきます。甘めで濃ゆいつけ汁に、小ぶりな海老天が待ち構えます。
面白いもので、つけ汁にたっぷりつければ温そば風、チョコっとつければざるそば風の味わい。香り高き三つ葉を食みつつ、勢いよくたぐる。
フワフワの衣をまとったエビは、甘いツユを吸ってぽてぽて。ガブリと食べれば衣の内側はなおサクサクで、エビがぷりぷりと歯を押し返します。
ここで、つけ汁ではなく、そばに直に七味をかけて池波正太郎風でいただく。辛味がぼやけず、そばの清涼感はそのままに喉を通り抜けます。
しめはもちろん、そば湯。外気はどうあれルチンをとらなきゃせいろを食べた甲斐がない。たっぷり注いでふうふう飲めば、滋味に満たされます。
心頭滅却すれば火もまた涼し。打ち水やうちわと同じ昭和マインドな消夏法ですが、カラダは喜んでいそう。デコ汗を拭きつつ、ノレンをくぐる。
ごちそうさまでした。