今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 966)春菊天そば

 

 

寒い季節は、春菊の旬である。旧暦と感覚がズレているけど、正月は新春だし、節分は立春の前日である。その名の通り春菊はいま栄養を蓄え、春に花を咲かせるのだ。

 

まあハウス栽培で年じゅう食べられるんだけど、やはり寒い季節にすき焼きに入ってる、肉の旨みを吸い込んでクタクタのヤツに玉子をからませて食べるのがおいしい。

 

令和の世では、品種改良のおかげで生食できるほど苦味が減ったけど、やはり苦味を味わうのが大人の特権ですよね。いずれにせよ旬の栄養価が高いところを楽しもう。

 

すき焼きはハレの日のメニューだけど、日常での春菊をおいしく食べる方法といえば天ぷらですね。天ツユもいいけど、熱いそばツユにくぐらせるのが究極にして至高。

 

こちらは駅前に立地する、昔ながらの立ち食い系そば店です。実のところはスツールとテーブル席があるので立ち食いではないけれども、まあいわゆる路麺店ですな。

 

口頭で注文すると、見惚れるような手捌きで茹でおきそばが温めなおされる。支払いを終えテーブル席に座り、そばツユをゴクリと飲めば、あったかいんだからぁ。

 

立ち食いってのは、こういうのでいいんだよ、を体現するお蕎麦です。春菊天は姿揚げではなく、ふわふわのかき揚げ。濃いめのツユを吸い込んで、衣がとろとろです。

 

七味をふって、ズルズルとそばをすする。スーパーで買えるような茹で麺だけど、プロの手さばきにかかると、やはりどこか違うね。おでこにジワリと汗をかき始める。

 

年がら年中食べられる春菊天そばだけど、やはり冬が似合いますね。あらかた食べ終え、七味をもうひとふりかけて、ツユを最後まで飲み切る。ああ、滋味があふれる。

 

ごちそうさまでした。