今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 538)天然カンパチ丼

 

 

吉田戦車氏のエッセイで、「環七をかんしちと読んだら、捕物帳じゃないんだからと突っ込まれた」というエピソードがある。地方からの上京民としては共感しかない。

 

環七=かんなな。東京の常識が日本の常識ではないのだ。稲田堤いなだてい、飛田給ひたきゅう、高尾山口たかおやまぐち。そう思ったって不思議はないと思う。

 

ともあれ、本日のランチはカンパチ丼。環八といえば環状8号線であり、環七とともに南北の動線を担う交通の要衝である。たいがい渋滞しており、上空に環八雲が浮かぶ。

 

実は東京の環状線は環1〜8までナンバリングされており、ベテランタクシードライバーは当然知っている。皇居の西側ならば環1内堀通り、環2外堀通りから始まる。

 

環3外苑東通り、環4外苑西通り、環5明治通り、環6山手通り、あとは環七、環八と続く。都下の南北路線は脆弱だけど、国道16号は物理的にほぼ環状している。

 

ともあれ、カンパチ丼。こちらは正面から見た顔の模様が漢字の「八」に見えるらしく、漢字で書くと勘八とも間八とも。出世魚だけど、ブリほど幼名は知られない。

 

しょうゆの小皿にワサビをといて、カンパチの切り身に少しつけ頬張り、追いかけてご飯をかきこむ。脂がのり、角の立ったカンパチのなんとまあ小気味よいこと!

 

細切りの紫蘇は彩りだけでなく、その風味が脂っけを適度に和らげて白眉です。付け合わせのワカメの酢の物で口をサッパリさせ、口内に残るご飯を味噌汁で流し込む。

 

環八といえば「環状してないじゃん」でお馴染みですが、環状道路の定義は「都心部から放射線上に延びる道路をつなぐ道路」らしく、完全な環状でなくともよいとか。

 

なるほどなぁ。東京ローカルなことを思いつつ、いちいち醤油をつけるのが面倒になり、4切れほどまとめて漬け込んで丼ぶりに戻す。あとは一気呵成にかきこむかね。

 

東京なら山手線、大阪なら環状線がぐるっとひと回りしてるな。愛知環状鉄道放射線の短絡だけど、むしろ地下鉄名城線が環状だっけ。などと思いを巡らせつつ完食。

 

閑話休題、ごちそうさまでした。