親が言うところの「野菜を食べなさい」とはどのあたりを指すものか。学生当時はキャベツの破片をサッポロ一番に浮かべ「野菜はちゃんと食べている」と答えていた。
ここでいう野菜は「季節ごとの、栄養価の高い旬の野菜」を指すのだろう。マックでフライドポテトを食べ、ハンバーガーのレタスを喰んで、「野菜バッチリ」ではない。
20世紀にはカット野菜も一般的でなく、キャベツばかり食べていた。まんが道でおなじみのテラさんも、大根やキャベツばかり食べていたと自伝漫画に描いている。
もちろん、イチゴやスイカはここでいう野菜ではない。男子が技術、女子は家庭科という教育を受けた世代はなので、いまいち栄養バランスを考えない悪いクセがある。
さて、本日はいわゆる二郎系ラーメン。麺の量はプチ200、小300、大450g、野菜の量は普通、マシ、マシマシから選べる。野菜マシの迫力に負け、小・普通を注文。
ゴツい太麺は茹で上がりに時間がかかり、待っているあいだ後客の注文が自然と耳に入ってくる。どうも、若い世代は野菜マシがほとんどで、まあ無料なら無理もない。
親に「野菜を食べなさい」と言われて、「ちゃんと食べてるよ(トッピングで)」なんて会話をしているのかな、などと妄想する。私は親に聞かれないぶん、自律しなきゃ。
やってきたのは、小らーめんとは思えぬボリューム感。普通のラーメンならまずはレンゲでスープを飲むけど、こちらのスープはかなり塩っぱいので、自重しておく。
かわりに山頂のもやしをスープに漬け込んでシャクシャクかじる。少量のもやしでは薄まることのない濃ゆいスープは、海水よりも遥かに高い塩分濃度で、舌が驚く。
しかし豚骨の旨みたっぷりのスープに箸は止まらない。太いけど短めの麺なので、スルスル食べられちゃう。丸く分厚いチャーシューは歯ごたえ抜群で、幸せのかたち。
卓上の刻みニンニクを、味変に少しだけ入れて、スープに溶かし込む。人造人間18号を吸収したセルのように、これぞ完全体というおいしさ、底が知れない味わい。
「野菜を食べなさい」と言われたときはいつも「それなりに」と言い訳したっけ。そんなことを思いつつ完食。スープを小さじ1だけ飲んで、グラスの水で体内希釈する。
ごちそうさまでした。