明治に創業したという、甘味処兼食事処。高齢のご夫婦で営んでいるので、店が続いているだけで嬉しいお店。正直、訪れるたびに「やめてなかった」と安心している。
店に入れば、最近もTVの取材があったようで貼り紙がある。80半ばのご主人が店内の接客と甘味の持ち帰りに対応し、奥様が厨房を一人で切り盛りしている。
私が通うようになってからも20年近くが経っているな。たまに店を通り抜けるお孫さんも大きくなってるしね。ともあれ、まだ肌寒いので、あったかい麺類にしよう。
ここで、もち入りラーメンかタンメンかで悩む。甘味処ならではのフレッシュなもちを楽しむか、これでもかとたっぷりの野菜で栄養をつけるか。どちらも捨てがたい。
朝がインゼリーだけだったので、ここは栄養重視でタンメンにしよう。ビタミンは理論上とれたけど、心の栄養もまとめてタンメンに面倒みてもらうことにする。
待ち客に次々と配膳され、いよいよ次が自分の番だとウキウキする。これまた甘味処ならではの濃厚な粉茶をすすりながら、カウンター越しにタンメンの出来を見守る。
やってきたのは、個人店ならでは、季節の野菜がふんだんにのせられたひと品。スープを飲めば、ガラスープに、野菜の滋味がしみ出したやさしい味で、ホッとする。
麺が見えるまでベジファーストしよう。キャベツ、チンゲン菜、白菜、長ネギ、玉ネギ、もやし、ニラ、しめじ、にんじん。まにまに浮かぶ豚コマとともに食べてゆく。
アツアツ、ハフハフと食べるので、3分ほど食べてようやく、黄色い細ちぢれ麺がチラリと見える。これではまだ野菜の重みで麺は持ち上がらないので、野菜を再び。
キャベツの甘さが際立つし、白菜がショキショキして楽しい。緑が多いのでにんじんの差し色が鮮やかで、つまりはどれもこれも欠かせないわけです。そろそろ麺だな。
ズルズルすすると、ちぢれ麺にスープがよく絡みます。卓上にあるお酢を入れると、サッパリしていくらでも飲めそうな気がする。酢を入れすぎるとむせるけどね。
麺をすすりおえ、浮かぶ野菜を摘み取り、レンゲを駆使してスープを飲む。丼ぶりの内側には、店の名前とまだ市内局番7桁の頃の電話番号が書かれており、感慨深い。
ごちそうさまでした。
体に無理のない範囲で、続けてください。