今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 711)冷やしむじなそば


梅雨は嫌だけど、冷やしの季節と思えばまだ我慢できる。貼り紙をみれば「冷やし始まりました」と奥ゆかしいニュアンスで、たぬき、きつね、むじなが並ぶ。


初物だし悩むくらいなら、むじな。たぬきの油っけときつねのジューシーさを堪能できる。お隣の常連風は「昨日と同じ大冷やむじな」とのこと。わかるわ〜。


蒸し暑いなか、熱いお茶を飲む。心頭滅却すれば、なんて上等な精神は持ち合わせていないけど、冷たいそばのプレリュードとして、熱い番茶がありがたい。


見目麗しきむじなそば。確か、冷やし中華のように酸っぱいツユだったな。まずはそばをそろそろすすれば、舌を刺す酸味と、鼻に抜ける旨みがたまらない。


揚げ玉はキシキシ歯ごたえよく、お揚げは甘辛く炊いてある。きゅうりの清涼感とともにかきこめば、夏だな夏だな夏なんだな、と甲本ヒロトの声が聴こえる。


途中でワサビをとけば、さらに嬉しい味の協奏曲。ズルズル食べ終えたら、そっと器を持ち上げ、ひと口だけツユをゴクリ。目の覚める酸味を番茶で洗い流す。


ごちそうさまでした。