男おいどんは、空腹で倒れたときにタテだかヨコだかわからないビフテキを所望した。サイコロステーキなどではない、超厚切りステーキ。
実際に瀕死の人間の胃がそんなもの受けつけるとは思わないけど、牛=高級でパワーがつく食材、というのは昭和生まれの一部では信仰に近い。ニンニク信仰と層がかぶる気がするな。
さて、カラダの疲れを自覚したランチタイム。
ここは一発スタミナをつけようと信仰心のおもむくままステーキ丼を選ぶ。胃が受けつけるかではない、魂で食べきるのだ。
牛肉・オレンジ自由化については、国内農家とのすみ分けはもちろん、マックの陳腐化、牛丼の低廉化、過当競争など功罪ありという立場です。
でも、牛さまが身近になったのは事実。アメリカさんの思うツボかもしれないけど、結果として国産牛のプレミア化も誘導されました。
さて、こちらは国産リブロースらしい。らしいというのは、私の残念な舌ではわかりかねるから。
かつての産地偽装は悲しいできごとでしたが、あれでコンプライアンスが高まったなら、こんな私には福音です。
閑話休題。
まずは赤だしをひとすすり、渋みが感じられる好みのダシ。ではではと、おもむろに肉をガブリ、ご飯をパクリ。
刻みノリの風味、タレのうまみ、肉の歯ごたえ、ご飯の甘み。これはパーフェクト。咀嚼が止まらない。
小鉢のとろろをかけて、食欲を加速。なるほど、胃が疲れていただけではない、食欲という野性が眠っていたのだな。
完全に覚醒した野性とともに、一気呵成に食べ進める。ただし、よく噛むこと。いきすぎた野性は胃酸過多をまねくのだ。残念ながら、現実問題。
お新香を箸休めに、もぐもぐと完食。牛丼とはちょっと違う、固い肉の咀嚼によって得られる高揚感がカラダにまとう。
HP だけでなく MP も回復したような、ドラクエの宿屋のごとき丼ぶりでした。
ごちそうさまでした。