陽の高いうちに飲むというのは、背徳感もあってか通常の3倍はおいしい。
ましてや、望むでもない休日出勤あがりなんだから、うれしい、楽しい、大好き! で仕方ない。
さて、JR ならばいざ知らず、私鉄沿線のしがない駅では昼酒(といっても夕方だけど)の場も限られる。ファミレスでは味気なく、ラーメン屋では落ち着かない。
そこでめぐり逢う養老乃瀧。学生の頃に幾度か行ったけど、学生時分は贅沢だった印象が。
とは言えチェーン居酒屋の老舗ゆえ、大当たりはなくともはずれることは決してないという確信をもってのれんをくぐる。
16 時だというのに店内には先客もチラホラ。カウンターでメニューを見ているうちにも、ぞくぞくと 60 代のおじさんたちが吸い込まれてくる。
オレに言われたかないだろうけど、昼酒はおいしいけど、カラダにゃよくないぞ。あくまでココロの栄養だぞ、皆さん。
とりあえずの生ビールとつまみを2品頼んで、ひと息つく。ふと気づけばBGM には聴いたこともない謎の演歌が流れ、雰囲気はここだけ昭和。
そもそも、演歌って日本人の心の歌みたいに言われるけど、昭和後期に流行した、いちジャンルに過ぎないよなー。フォークやら、テクノ、なんなら小室サウンドのようなもんかな〜。
などと考えているとやってきた生ビールとお通し。まずはビールをグビリ、くぅぅ、うまいっす。お通しは子持ち昆布とコンニャクかな、無料の心意気がうれしい。
ビールがおいしいんだけども、あまりペースをあげると、すぐに酔いがまわるので、あえてチビチビやりつつ、おつまみを待つ。
やってきました、先発のマグロぶつ。歯ごたえねっとり、あと味さっぱり。しょう油をつけた大葉も実においしい。ツマの大根までキレイにいただく。
私の後ろでは、常連さん同士がテーブル越しにナスのなんとかが開店早々売り切れだと騒いでいる。
すごいな、こんなラズウェル細木の漫画に出てくるような、滲み出る常連感ってあるんだな。
お次は中継ぎの串物、豚のカシラ。コリコリした食感が楽しいな。それに味噌タレがえらく合う。タレか塩か悩んだけど、塩にしてよかったな。
ここでチビチビビールもついに底を尽き、2杯目の飲み物を検討する。家に帰って飲み直したいし、あんまり濃いのは避けとこう。
で、見つけたのがバクハイとやら、ビールとウイスキーの割りものらしい。
かつてウイスキーのポカリ割りを飲んでいたダメな日々を思い出して注文。それと、軽いシメに養老牛丼も頼む。
さて、やってきたバクハイにレモンを絞ってゴクリ。飲んだらわかる、ダメ人間になるヤツだ。くぅぅ、ウミャイ。
酒の一滴は血の一滴、なんて言葉もラズウェル細木の酒のほそ道で知りましたが、まさにそれくらい貴重なバクハイを舐めつつ、カシラの残りをいただく。
やってきました抑えの養老牛丼、しっかりとシメてくれよな。おや、小ぶりな茶碗サイズがちょうどいい。丼ぶりサイズでは身がもたない。
まずはひと口。おっ、おいしい。私のなかでの牛丼最高峰は吉野家なんですが、少し違う、でも正統派の味。肉の脂身がちょうどいい按配ダネ。
七味をかけてモグモグしてると、熱ーいお茶がやってくる。嬉しいなー、こういう細やかなサービス。さすが老舗チェーンだな。
ほうじ茶をすすっていると、後ろの常連さんは競馬やパチンコで負けた話で盛り上がっている。そうか、勝ってれば養老には来ないよな。
さあ、ひとしきり小一時間過ごして 2000 円もしない。これを高いととるか、安いととるかは人しだいだけど、個人的にはすごいお得な時間でした。
今度は養老ビール(瓶ビール)を飲みに来よう。できれば誰かときて、いろいろつまみをシェアしよう、そうしよう。
ごちそうさまでした。