今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 393)なべ焼き

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肌寒くなると、鍋焼きうどんが恋しくなる。先日食べた今季初鍋がおいしかったので、この秋冬シーズンは街そば屋さんの食べ歩きをする決意。


メニューを開けば「鍋の部」に強者どもがズラリと並ぶ。けんちん鍋、みそ煮鍋、すきやき鍋、うどん雑炊。そして最後に千両役者、なべ焼き。


何というか、うどんを名乗らずともわかるでしょう?  といった矜持を感じますね。うどん雑炊という謎メニューにもひかれましたが、初志貫徹。


しばし待ってやってきたのは絢爛豪華なひと品。これから始まる楽しい食事の予感にニヤニヤがとまりません。徐に箸を割って、陣容を確認する。


シメジ、ねぎ、ナルト、豚肉、エビ天、伊達巻、カマボコ、お麩、ナルト、青菜。石原裕次郎と渡哲也の共演の如き、夢のオールスターですナ。


まずはエビ天にひと捻りを入れ、先端をガブリと食べる。えらく堅牢なエビ天の衣はサクサクで、煮え立つツユを向こうに回して負けていない。


肝心のうどんはツルツルとして、時にみかけるお焦げが嬉しい。途中、グラスの水で涼をとりながら、小鉢にミニうどんをこしらえて食べてゆく。


味のしみたお麩からは熱いツユが飛び出し、さながら食品兵器。肉厚なカマボコは「夜の板わさが本業ですから」といった高潔さすら覚える食味。


こんなに雑多に具材があるのに、味が少しも濁らないのがスゴイ。1番から9番までそれぞれ役割を果たす打線のように、総体としていい働き。


ズルズル食べて、途中で七味を振るころには、小鉢がなくとも食べられる頃合いに。澄んだツユなので底に沈んだ具材を丹念に突いて、箸を置く。


イイナ、鍋焼きうどん。家には土鍋がありませんが、コンビニのアルミ鍋の冷凍鍋焼きも出始める季節だし、今季はいろいろ攻めてみようかな。


ごちそうさまでした。