朝晩肌寒いと、温かい汁物が食べたくなる。気軽に立ち食いへ行ける私と違い、家人はあまり麺を食べないので、ここはひとつ腕によりをかける。
とはいえ、スーパーで買ってきたありふれた材料ですから、海原雄山を唸らせるようなものはできない。普段より、ちょっと凝った食卓を目指す。
まずは、牛肉を水で薄めたすき焼きのタレで煮つめる。途中で生姜とお麩を入れ、タレをしみ込ませる。30 分も煮詰めれば、すっかりホロホロ。
カマボコはいつもの 120 円ではなく、350 円。一切れつまみ食いすると吸い付くような舌ざわり。板わさで食べたいくらい、高いものは違うな。
ダシをとり、玉うどんを煮込む。麺をとりわけ、温泉玉子、九条ネギをのせ、メインの牛肉をのせたら、ダシを注ぐ。よし、見た目はバッチリだ。
ツルツル食べてみれば、讃岐うどんならではの弾力と、すき焼きのタレがにじみ出つつも澄んだダシが非常においしい。これは我ながら傑作だ。
すき焼きのタレがしみたお麩、モッチモチで歯を押し返してくるカマボコ、トローリ濃厚な旨みを加える温玉、すべてが肉うどんの必要十分条件。
立ち食いならば孤独のグルメ、ひたすらに壁を見つめて食べますが、家族と一緒だと、ぬるくなろうと、のびようと、くつろいで食べられますね。
ごちそうさまでした。