ワンタンを家で食べることは少ない。餃子、焼売あたりと比べると、インパクトに欠けるからか、「今日の晩ごはんはワンタンよ」とはならない。
三角の皮に肉や魚介の餡が挟まれる。餃子の皮より薄く、はかないから、スープに入れるとハラハラ舞い散る印象。おいしいけど主役級ではない。
なんでも中国の北部に広まったのが餃子、南部に広まったのがワンタンとか。皮の形や厚さ、調理法もあろうけど、ざっくりいうと薄手の水餃子。
とか調べていると、やってくる雲呑麺。雲を呑むとはうまいこと言ったもので、ツルリと舌触りよく、肉を噛みしめ、喉越しスルリと抜けていく。
アチチ。皮が薄いぶん、ピラピラが口内で大暴れするのでやけどしそうです。水餃子では餡と皮を噛みしめますが、ワンタンは喉ごし勝負ですな。
基本が老舗の街中華ラーメンなので、ストレート麺はツルツル、鶏ガラスープがおいしい。コリコリの支那竹、脂が甘い叉焼など、脇役も手堅い。
麺、ワンタン、スープの三角食べ。炭水化物の二乗ですけど、愉快ユカイと食べ進む。スルスル食べていけば、期せずして残るはワンタンスープ。
レンゲで掬いあげて食べてみたけど、ふと幅広のひもかわ気分ですすれば、口に入れるや崩れ去る、ビロードのような妖艶さ。カ・イ・カ・ン。
思わず薬師丸ひろ子となってしまいましたが、底に沈んだひき肉をつついて完食。午後の喉の渇きが予感され、グラスの麦茶をグイッと飲み干す。
ごちそうさまでした。