今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 439)山かけそば

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昼下がりの蕎麦処。年越しそばの注文書が掲げられていて、もう年末なのだと思い知る。いつも通り気忙しく、でもステイホームの特別な年末。


日曜の夕方は、晩ごはんを用意しながら観るともなしにテレビを点けている。探偵ナイトスクープから相葉マナブへとチャンネルを繋ぐのが習慣。


毎年この時期になると、相葉マナブで自然著掘りをしている。長く地中に埋まった自然著、複雑な形の自然著を折らずに掘るというのが楽しい。


で、感化されての山かけそば。山をかけるというのも大仰ですが、芋では珍しく生食できる自然著をトロリすり下ろして、スルスルいただけます。


とろろそばといえば高尾山ですね。山芋は、なまぐさを嫌う門前町のそばのタネにふさわしい。栄養価はもちろん、蛋白な味はそばと相性がいい。


さて、こちらでは、ついついもりそばを食べるので、温そばは何年かぶり。調理場から、何かを混ぜ合わせる音が聴こえてきて、期待が上がる。


やってきたのは瀟酒な仕上げのそば。まずはサジでツユをひと口。旨みが5乗くらいされたような深みのあるダシ。なるほど、そばを邪魔しない。


新そばで、香り高い更級そばは、文句なくおいしい。そして主役の山かけ。玉子の黄身と和えられていて、ふんわり、とろとろ、滋味深い味わい。


肉厚の椎茸、昆布巻きのかまぼこ、ほうれん草、結び三つ葉、さやいんげん、どれも丁寧な仕事だなあ。食べ手として、丁寧に向き合いましょう。


昆布巻きのかまぼこは珍しいな。北陸出身としてはおせちの定番だけど、関東ではあまり見ない。帰省ラッシュに揉まれて帰った昭和を思い出す。


途中で七味をふって、ズズっとすすればあっという間。底に沈んだとろろを掬い上げてはゴクリといただく。地に足をつけた栄養って気がします。


ごちそうさまでした。