昼下がりの蕎麦処。年越しそばの注文書が掲げられていて、もう年末なのだと思い知る。いつも通り気忙しく、でもステイホームの特別な年末。
日曜の夕方は、晩ごはんを用意しながら観るともなしにテレビを点けている。探偵ナイトスクープから相葉マナブへとチャンネルを繋ぐのが習慣。
毎年この時期になると、相葉マナブで自然著掘りをしている。長く地中に埋まった自然著、複雑な形の自然著を折らずに掘るというのが楽しい。
で、感化されての山かけそば。山をかけるというのも大仰ですが、芋では珍しく生食できる自然著をトロリすり下ろして、スルスルいただけます。
とろろそばといえば高尾山ですね。山芋は、なまぐさを嫌う門前町のそばのタネにふさわしい。栄養価はもちろん、蛋白な味はそばと相性がいい。
さて、こちらでは、ついついもりそばを食べるので、温そばは何年かぶり。調理場から、何かを混ぜ合わせる音が聴こえてきて、期待が上がる。
やってきたのは瀟酒な仕上げのそば。まずはサジでツユをひと口。旨みが5乗くらいされたような深みのあるダシ。なるほど、そばを邪魔しない。
新そばで、香り高い更級そばは、文句なくおいしい。そして主役の山かけ。玉子の黄身と和えられていて、ふんわり、とろとろ、滋味深い味わい。
肉厚の椎茸、昆布巻きのかまぼこ、ほうれん草、結び三つ葉、さやいんげん、どれも丁寧な仕事だなあ。食べ手として、丁寧に向き合いましょう。
昆布巻きのかまぼこは珍しいな。北陸出身としてはおせちの定番だけど、関東ではあまり見ない。帰省ラッシュに揉まれて帰った昭和を思い出す。
途中で七味をふって、ズズっとすすればあっという間。底に沈んだとろろを掬い上げてはゴクリといただく。地に足をつけた栄養って気がします。
ごちそうさまでした。