頭カラッポの方が夢詰め込める、と古の歌にありますが、頭がよしなしごとでいっぱいだと、お腹にものを入れるのも億劫になる。そんなお昼時。
定食類は三角食べだの、ベジファーストだの、雑念が入るので、丼ものにしよう。あれこれ考えず目についたチャーハン、せっかくなら大盛りで。
程なく、ガンガンと鍋を振る音と、カチャカチャとオタマの音が聞こえ、やがてパチパチと油の跳ねる音が。にわかに空腹を覚え、唾を飲み込む。
やってきたのは、シンプルイズベスト。奇を衒うことのない、地に足のついたチャーハンは、見つめるだけでウキウキします。まずは、ひと口。
塩コショウがきいていて、しっとり油をまとっています。パラパラ至上主義の方もいるでしょうけど、家庭の味の延長線にある、懐かしい味わい。
具材は玉子、ナルト、チャーシュー、ネギ。こういうのでいいんだよ、を体現するようなチャーハンは大盛りにして正解。只管レンゲを動かす。
気の赴くままスープを飲み、漬け物をかじる。やがて器の縁に見えてくる消えかけた雷文こそが、年季と味と確かさの証。チャーハン、大正解。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。