トンカツ専門店のソースはおいしい。野菜の旨みか、果物の甘みか、スパイスの魔法か。さすがに飲めはしないけど、飴にして持ち歩きたいほど。
普段は義務的に「はいはい、野菜も食べればいいんでしょ」なんて扱いのキャベツだって、喜んで食べられるし、なんならおかわりしちゃう。
たまにくるソース腹を満たすとき、焼きそば、お好み焼き、たこ焼きなどが候補になるけど、平日
のランチ向きではない。そこでトンカツ屋さん。
極上ソースをたんまりかけて、シャクシャクとキャベツを喰み、ガツガツとカツを喰らい、もりもりご飯をかきこむ。自らの思いつきに浮かれる。
とはいえ、専門店での選択は悩ましい。ロースかヒレか、何グラムか、なんなら上位互換の鹿児島黒豚「黒の匠」も控えていて、嬉しい悲鳴。
店内は混み合っており、早めに頼まないと時間が足りなくなる。焦りながらも、欲望を優先して、黒豚ヒレかつ、やや奮発して 150 g にしよう。
カウンターの奥から漂うラードの香りで鼻腔を満たし、幸せの時間を待ちわびる。お隣はカツカレーですね。首を長くして待つとは、このことか。
まずばカツ&野菜のお目見え。キャベツに悲願のソースをかけていると、追ってご飯と味噌汁が到着。味噌汁を飲みつつ、ランチ戦略を立案する。
ご飯、キャベツ、味噌汁はおかわり自由だけど、食べすぎは猶及ばざるが如し、現有戦力で勝負しよう。カツは3枚あるから、1枚はポン酢かな。
ベジファーストでキャベツをパクリ。たっぷりのソースでくったりしたけれど繊維質はそのまま。クセのなさが、ソースの味を際立たせますね。
一方ヒレかつは何もつけずにガブリ。衣がチクチクで、肉厚なのにスゥッと歯が通るあたりが黒豚さま。ご飯が合わないわけがあるか、いやない。
ふた口目からはソースをかけてガブリ。鼻腔に抜けるソースの香り、舌で躍る肉の旨み、衣の喉越しまでおいしい。ポテサラもいいアクセント。
口が油っぽくなったところで再びキャベツを。じっくりソースを味わえば、はじめ甘く、やがて辛く、そして幸せが訪れる。結婚にも通じますね。
そういえば昔、人の顔をしょうゆ顔、ソース顔なんて区分するのがはやったなあ。私はなぜだかマヨネーズ顔に区分され、苦笑いした思い出が…。
ごちそうさまでした。