今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 303)中村屋純印度式カレー

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昼下がりの新宿、みれば中村屋が近い。押しも押されもせぬカレーの名店に行列はわずか、チャンスは最大限に生かす主義なので、即決で並ぶ。


一押しメニューは、どうやら純印度式カレーのようす。「昭和2年、衝撃の味覚と評されて以来、長年愛されつづけてきたロングセラー」らしい。


注文ののち、「恋と革命の味」の謳い文句が気になって調べると、日本に亡命したインド独立家と恋に落ちた中村屋創業者の娘による味らしい。


昭和2年って西暦1927年だから百年近い伝統の味ですね。これぞ正に百式エウーゴの技術者も見倣ってほしい、などとガンダムネタが浮かぶ。


ともあれ、当時の日本でインド人が手を尽くしてできあがった純印度式カレー。カレー界の東の正横綱ともいうべきカレーを、存分に味わいます。


各種薬味を従えてやってきた印度式カレー。ご飯とカレーの配分のためには全体像の把握が必要なので、ポットから一気にソースを流しかける。


まずはひと口。むむ、おいしい。辛さって基本的に痛覚だから表現が難しいけど、スパイスの配合による豊かな香りと風味が、やはり老舗の味。


食べてみて改めて、レトルトの再現力に驚く。店で食べたほうがライブ感があるのはわかるけど、ここはわが国の技術力に敬礼をせざるを得ない。


ともあれ、目の前のカレー。骨つき鶏肉はホロホロ、スプーンで食べられる。固まり豚肉もおいしいね。ビーフはないのがヒンドゥーの教えかな。


ここらで薬味を試す。左サイドには、ピクルス、らっきょう、タマネギの辛いヤツ。食べるタイミングがよくわからないけど、折をみて頬張る。


右サイドは、粉チーズ、酸っぱいスパイス、柑橘の皮らしい何がしか。不明のものを調べてみるとどうやらオニオンやマンゴーのチャツネらしい。


ふと周りをみれば年齢層がかなり高い。待っている間に「新宿といえば中村屋」との声も聞かれたし、お値段もそれなりで伝統の重みを感じます。


じっくり味わっているとご飯をソースを吸ってしまうので、そこそこ急いで食べる。印僑のカレーとも異なる、印度を望郷した革命家の味でした。


ごちそうさまでした。