今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 414)カツカレー

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カレーライスとひと口に言っても、思い浮かべるものは、世代によってさまざまであろう。少なくとも、昭和のころナンカレーはほとんど見なかった。


カレー粉と小麦粉でつくる給食の黄色いカレー。母親がここぞとばかりに人参を入れる家庭のカレー。レトルトカレーなどはたまの贅沢だった。


令和のカレー界隈からみれば、思い出補正をかけなければいけない。カレー粉ではなく、スパイスの組み合わせを云々する市井の評論家も多い。


さてこちら、店員2人で目の行き届くくらいの小ぶりな店内は、レトロだけど清潔で、ウリは昭和のオムライス。そんな素敵空間のカツカレー。


まずはサラダでベジファースト。トマト、きゅうり、レタス、キャベツ。昭和のころなら十分にハイカラといえる、シンプルかつさわやかなひと皿。


そしてカレー。給食に比べれば茶色く、そのぶん深みがあって、辛さもグッと強い。スパイスの味もインド的なものではなく、いかにも洋食屋さんのカレー。


カツは当然の助動詞・べしの揚げたてサクサク。カリカリと口内に刺さるほどの衣の中には、キシキシ歯ごたえよい豚肉が。途中でソースをかけて味変。


スープもほのかな旨味でやさしく、カレーの刺激を上回る滋味に耽溺する。ご年配の夫婦ならではの、息の合った配膳、客さばきはおみごとのひと言。


しばらく休んでいて心配だったけど、もう少し、舌と胃を楽しませてほしいな。そんな客のワガママを胸に秘めつつ、ひと粒残さずキレイに完食です。


ごちそうさまでした。