佐渡というと、日本海に浮かぶ、Hを横にした形の島との印象。金山があったり、かつて流刑地だったり、そうそうトキも忘れちゃいけない。
そんな佐渡名物と謳われるぶりカツ。ぶりは北陸では年取り魚だし、佐渡でもよく食べられるんでしょうね。刺身腹だったけど、物珍しさで注文。
佐渡名物を都内で食べるというのも、江戸の仇を長崎で討つがごとく不思議な気持ち。調べてみると、2010年に誕生した新ご当地グルメらしい。
曰く「佐渡天然ブリカツ丼は、地場産米粉を使った衣で揚げた『天然ブリのカツ』を、『特製あごだし醤油ダレ』にくぐらせた丼」が正式だとか。
枝葉はともあれ、ぶりを揚げるというのは趣き深い。魚介を揚げる調理法は鮮度の問題ではなく、獲れすぎるので食べ飽きない工夫のことが多い。
おや、ずいぶん左右に長いナ。サクをそのまま揚げたわけではないだろうけど、持ち上げるのは難しそうなので、箸でえいやっと半裁を試みる。
けっこうかための質感をようやく割り終えて、ソースと醤油を半分ずつかける。ベジファーストでキャベツとパセリを食んで、味噌汁をすする。
主役のカツはプリプリで、食べごたえ十分。不思議なことに、ソース味はトンカツ、醤油味は鶏のささみに似た印象で、オカズヂカラが光ります。
なぜか有線で「雨あがりの夜空に」が流れてきてリズムにのって噛んでゆく。箸休めの香の物はウリかな、季節感あふれ、微かに青臭いのがいい。
魚介の揚げ物というのは、油ものの割りに胃もたれや罪悪感がないのが嬉しい。時節がら名物料理での町おこしも難しいけど、がんばれ、佐渡。
佐渡に遠流されたのは日蓮、順徳上皇、世阿弥など、社会的影響力のある大物が多いらしい。海原の遥かに何をみていたのかな、などと古を想う。
ごちそうさまでした。
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