今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 561)冷やし山菜そば

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歳をとってはじめて価値に気づくことがある。心身の健康、家族の存在、豊かな自然。若いころは遠くをみていて、足元を見逃していました。


例えば山菜と聞けば山菜採りのお年寄りが遭難といったニュースを思い出し、果たして、そこまでする価値があるものかと訝しく感じていました。


ところがアラフィフともなると、油ものがキツイ体調だし、ひとつ山菜そばでもたぐるかねェなんて思考回路が芽生えます。自分でも驚きです。


こちらの冷やしはツユがごくごく飲める系です。適度にワサビをといて、まずひと口。井戸水のように冷たく、体がみるみるクールダウンします。


お次は、山菜をつまみ上げては食感を楽しむ。クニクニ、フニャフニャ、サクサク。ワラビ、ゼンマイ、タケノコ、といったところでしょうか。


露地栽培できるわけでなく、旬になると、山へ分け入り見極めつつ摘まれ、熱心に灰汁を抜く。そんな山菜に思いを巡らせつつ、そばをたぐる。


そばも冷たくしめられ、喉越しさわやか、カラダの中から涼がとれる。サービスの揚げ玉もツユを吸って山菜に伍する味わいです。実においしい。


店員さんのゆるゆるとした高齢女子トーク、静かに時間経過を告げるラジオ、居並ぶスポーツ紙と雑誌など、昭和の如き店内は居心地がよすぎる。


スルスルとそばを食べ終え、山菜を丁寧につついて、ツユをふた口ほどゴクリ。炎天下に戻るべくハラを決めつつ、水を飲み干して席を立つ。


ごちそうさまでした。