揚げ物がキツい年になってきた。ほんの2、3年前まで、朝そばのかき揚げが潤滑油がわりで、1日の活力となっていたのに、最近は胃もたれを覚える。
50年近く大病もなく生きてきたし、多少のシステム劣化はやむをえまい。むしろ、これまでありがとう、と感慨深い。さて、本日の朝餉はどうするか。
とろろに激しくひかれるも、朝得そばがお得すぎて。揚げ物といっても、たぬき玉くらいならなんとかなるだろうと注文。肌寒くなると、温そばが恋しいね。
朝得そばは、たぬき、月見と、わかめが味わえるひと品。たぬきが月見しているので、いわば証城寺そばです。わかめはさしずめお寺の草っぱらですね。
七味をふって、ネギを添えて、まずは熱いツユと白身をゴクリと。ダシがきいてるけど、カエシもそこそこ濃ゆくて、お腹がズドンと温まります。うまし。
そばはオーソドックスな茹でおきながら、モロモロの揚げ玉、クニクニのわかめとともにすすっていくと、七味の鮮烈さもあいまって、箸が止まらない。
グラスの水でひと休み。頃合いなので、熱々のツユで半熟になった黄身にプツリと箸をさす。トロリと溶け出た黄身をからめつつ、一気呵成に食べてゆく。
黄身のコクが舌の上で踊り、ダシの香りとともに鼻腔をかけ抜ける。390円で幸せとはつくづく安い男ですが、そのぶん丈夫にできておりますゆえ、
ごちそうさまでした。