初夏になると、あちこちで冷やし麺が始まる。またぞろ麺食いの本能で、1年ぶりの再会に喜んでしまう。コロナ禍の時代、食べ支えも大事です。
冷やし中華ならば、商工組合のポスターで「はじめました」と華々しく告知される。しかし、そばやうどんは、手書きでひっそり貼り出される。
ともあれ25℃を超えると、主力は冷やしになる。冷やしむじなを待っていると、後客4人がいずれも冷やしを頼んでいて、勝手に同志認定する。
たぬき(揚げ玉)ときつね(お揚げ)が同じ穴のむじな(相盛り)。いつ聞いてもトンチがきいている。桜肉、山鯨、紅葉に通じる美しい日本語。
まずは器を傾けてワサビを溶き、そばをツルツルと手繰る。喉越し冷たく、この季節はそれだけでありがたい。キュウリの青臭さが微笑ましい。
こちらの冷やしツユは、濃いめの酸っぱめ。ツユがしみて、揚げ玉はクニクニとやわらかい。刻み揚げもツユを吸い上げ、両者譲らぬ味勝負です。
プリプリのナルト、シャキシャキのねぎ、いずれも名脇役。あまりのおいしさに、食欲がオーバーペース気味。あっという間に宴は終わりました。
季節の料理を楽しめるのは健康な証拠です。ありがたや、ありがたや。なぜだか、丈夫な体をくれた両親にまで感謝したくなったランチでした。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。