ひらがなを多用すると文章が読みやすくなるけど、幼い、拙いという印象も与える。理想はかな7、漢字3などといわれるけど、意識してできるものではない。
日本語が繊細なのだといえば響きがいいけど、ようはピーキーなわけです。たとえば「アルジャーノンに花束を」の訳文を読むと、構成と相まって感心します。
で、サンマ。さんまと書けば明石家で、秋刀魚と書けば他人行儀だし、やはりサンマと書くのがしっくりくる。ピカピカの魚体は硬質なカタカナがよく似合う。
じっくり焼かれたサンマは、言うまでもなくおいしい。箸を入れれば身離れがよく、ひと口食べると、焼けた皮の香り、追ってやってくる身の旨み。
こいつぁ、オカズヂカラ抜群だ。余韻が残るうちにご飯をかきこんで、ふた口目からは口内調味でサンマをやっつける。小骨はカルシウム補給にちょうどよい。
秋だねぇ、海の恵みに感謝しつつ、もりもり食べる。尻尾の飾り塩すら愛おしく、すこーし醤油をかけた大根おろしとともに、口いっぱいにご飯を頬張る。
サンマのワタ。そりゃ日本酒が合うんだけど、ランチは白米で勘弁してほしい。しっかり苦くておいしいけど、いつから苦いが好きになったのだろう。
カキ、サンマ、春菊。大人になって食べられるようになった、苦み走ったいい男シリーズは、いずれも秋〜冬の味覚ですね。ぜひ健康でいて、楽しまないと!
ともあれ、今年の初サンマは見事に骨だけになりました。人生であと何回初サンマを食べるものかわかりませんが、思い出に刻み込んでいきたいものです。
ごちそうさまでした。