ランチはゆっくりしたいので、おいしくて、そこそこすいてる店が好きである。簡単なようで難しい条件ですが、決してランチタイムには行列しない。
そんな私のローテーションのひとつ、地下に店を構える洋食レストラン。ランチドリンクがついて、食事はもちろん、食後にのんびりできるのがグー。
「今日はハンバーグかな、パスタかな。いやいやカレーも捨てがたい」などと店に入ると「9月で閉店」との貼り紙が。かなりショックですが、仕方ない。
月イチ内外の訪問ですが、かれこれ20年近い付き合いなので、やはり寂しい。メニューをにらんで、シーフードスパゲティを選ぶ。パスタでなく、スパゲティ。
注文ののち、いつものようにランチコーヒーをあらかじめ淹れて、ゆっくり冷ましておく。当たり前のルーチンも、もうできないと思うと、感慨深い。
やってきたスパゲティは、いつもの安定感。ピンピンとイキのよいアルデンテがたまらない。イカ、エビ、アサリ、小柱、ムール貝の具もみるからにボーノ。
塩味と言いますが、ほぼペペロンチーノ。くるくる巻いては、うまうまと口に運ぶ。貝の風味というのは、どうしてこんなに味わい深いのでしょう。
しかし、スパゲティについてくるタバスコ&粉チーズも気になる。シーフードスパに粉チーズは不要だし、なんならタバスコはイタリアでは用いられない。
だけど、潮の香りをあえて握りつぶしてでも、付属する調味料は試さずにはいられない貧乏性。タバスコをちらちら、粉チーズはざぶざぶかけて味変する。
これはこれでおいしい。蛇足ともいえるけど、ムダを省いた文化が味気ないように、ヒトたるもの矛盾を腹におさめつつ進んでいかねばならない。
あらかた食べ終え、ひと切れついてきたバケットに残る油分を吸わせつつパクリ。海の味、チーズの香り、タバスコの刺激。実にボーノです。そしてチャオ。
長い間ごちそうさまでした。