今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 498)すずきの刺身定食

 

すずき。わが国ではごくありふれた名字である。漢字で書けば鈴木。知り合いにも何人もいるけど、名字被りも多かったので、下の名前で呼ばれがちだった。

 

すずき。英語でいうとsea bass。漢字で書けば鱸。淡白な白身魚で、実は出世魚らしい。考えてみると、居酒屋の刺身盛り合わせでしか食べてこなかった。

 

好き嫌いというより、縁がなかった。実家では食べた記憶がなく、長じても自らすずきを注文したことがない。せっかくの機会なので、味わおうかな。

 

鱸についてはWikiで調べて貰うとして、鈴木といえば、愛知に住んでる頃はやたら鈴木、松本、後藤が多かった記憶がある。クラスに23人いたよな。

 

わが家はレアな名字なのに、あまりカッコよくない。どうせなら伊集院とか、九条とかがよかったし、そうでないならシャチハタの都合上、鈴木で十分だった。

 

全国の鈴木さんとご先祖さまを敵にまわしそうなことを思ううちに、定食が到着。味噌汁で箸を湿らせつつ、すずきを観察。うん、よくある白身魚だな。

 

正直いって、白身魚の区別があまりつかない。鯛はわかる気がするけど、平目、鰈、太刀魚、鱸、など、食べたらどれも「おいしい」としかいえないと思う。

 

とはいえ、目の前のひと皿はすずき確定。淡白な白身なので醤油を控えめに、わさびを少しのせてパクリ。空気を鼻に抜くと、旨みがわかりやすい。

 

歯ごたえがしっかりして、噛むごとに甘みが出てきて、これが白身のおいしさと実感する。鮪、鰤、鰹のような派手な味ではなく、巨人でいえば川相あたり。

 

旨みを忘れぬうちにごはんをかきこみ、2切れ目からは口内調味しつつ食べる。5切れしかないので、ツマはもちろん、漬け物や切り干し大根も貴重な戦力。

 

白身の味がわかる大人にはなれなかったけど、なんでもありがたくおいしく食べられるオジサンにはなれました。食後にぬるくなったお茶をゴクリと飲み干す。

 

ごちそうさまでした。