オムカレー。そう聞けば、オムレツ乗せのカレーだろうと推測がつく。オムライスがオムレツで包んだライスなんだし、なんならオムサンドは卵サンドだよね。
接頭語「オム」が「卵」の扱いだけど、「オムレツ」で不可分の単語であり、「オム-レツ」と分けるのは、おむすびを「おむ-すび」と分ける位ありえない。
オムカレーを頼むたび、オムライスともども、和製外来語なのだと心に刻む。小難しい話はさておき、先付けのサラダを喰みつつ黒板のメニューを復習する。
いつもオムライスかオムカレーで、胃の調子のよいときカツカレーを頼むけど、黒板では上のほう、低価格帯なんですよね。水を飲みながら下のほうを見やる。
夫婦で営むこぢんまりとした店なので、メニューは多くなく、オムライス&海老フライ、オムライス&コロッケ、ハンバーグ&海老フライなどが続いている。
さらにポークソテー、ポークカツ、ミニステーキといった大御所が控えている。なにかの記念日に食べようと思っているんだけど、胃が若いうちがいいのかも。
後客はカツカレー、オムライス、オムカレーで、大物の注文はない。女性1人客もチラホラいて、店のやわらかなムードが和む。とかいう間にお目見えです。
名は体を示すオムカレーは、インド風でも欧風でもない、ザ・洋食カレー。カレーとライスの間にスプーンを差し込み、ひと口食べれば安心安定の味わい。
オムライス用と兼用だからか、ご飯は少しやわらかめ。トロリとしつつ、ピリッと辛いカレーがよく似合う。赤い福神漬けを里程標のように挟みつつ食べる。
真ん中までくると、オムレツというか卵焼きの出番。カレーの辛さにやられた舌は、そのやさしい甘みに癒される。黄身も白身も一緒くたに堪能する。
カレーはほぼプレーンだけど、ブイヨンのコクが感じられる。たまに見つかる豚バラ肉の脂のなんとまあ甘いこと!うまいの語源は甘いだと思い知らされる。
キレイな盛りつけだったけど、食べ終える頃には皿の上はすっかりカオスです。コンソメスープで舌を洗うもなお消えぬ辛み。ひと夏の恋のような、残照です。
ごちそうさまでした。