カライという言葉は多くの意味を包含している。唐辛子、和芥子、わさびのような刺激物だけでなく、塩っぱいこともカライと表現される。漢字で書けば「辛い」。
カライはツライに通ずるのかも、なんて考えつつ辛みそラーメンを注文。個人的に、有吉ゼミの激辛チャレンジは、食べ物で遊ばないスレスレのラインを攻めてると思う。
こちらはランチサービスで麺かもやしの増量ができるので、辛みを打ち消すためにもやしを増量。こうまでして辛みそを食べるというのも、我ながら奇妙な感情です。
暑くも寒くもなく、空調も生ぬるい気候なので、カラダが刺激を求めているのだろうか。外的要因ではなく、内部からの熱で発汗したいという、いわばカラダの衣替え。
ラードでスープから湯気が出ないのが、いかにも札幌ラーメン。レンゲでひと口飲めば、まず熱く、脂の旨み、味噌の香り、塩味、酸味、甘味が加わり重奏曲を奏でる。
最後に、あるいは最初に熱とともにやってきていたかもしれないけど、辛味が舌を突き刺せば、カラダが夏の準備を始めること TMレボリューションの如く。汗がジワリ。
野菜の隙間から太縮れ麺を取り上げる。勢いよくすするとむせそうだし、跳ねそうだし、ゆっくりモムモムと食べてゆく。スープをからめとること、このうえなし。
たっぷりの野菜を辛みそスープにまぶしつつ食べる。なんとまあ、キャベツの甘いこと! 季節的に春キャベツかな。ネギや増量もやしもシャクシャクとやっつける。
ひき肉、玉ねぎ、メンマ、叉焼などいつもの具材たちも、確実な働きをみせる。まるで、脇役がいないWBCの日本の下位打線のように隙がみられないラインナップ。
味噌ラーメンには、コショウではなく、七味が合う。パラパラとふりかけて、そろそろとすすりこむ。950円で得られるあまりの多幸感に、我ながらやっすい男と思う。
仕上げに壺に入った謎の辛み豆を加える。小粒納豆のようなサイズのこの豆、少量でもやたらと辛い。これは何という食べ物なんだろう。いつ調べても、わからない。
汗腺が1つひとつ開いていくような、カライ体験。ツライというよりも、心地よいペースのジョギングのようにさわやかな心もち。無理のない、自分に合った辛味だな。
ごちそうさまでした。