春の陽気にカラダが追いつかず、いつもの町そば屋に向かう途中、そろそろ冷やしが始まらないかなと勝手に期待する。残念ながら冷やしはまだまだ、梅雨前だもんな。
ならば、せいろをとツルリと行こうかな。でも、少しボリュームが欲しいよな、などと脳内会議を展開して、せいろかれーを選ぶ。以前はカレーせいろだった気がする。
メニューを精査すれば「かれー南蛮」もあるし、ひらがなで統一されているポリシーなのだろう。店により「咖哩飯」表記もあれば「辛い飯」と書くところもあるしね。
ともあれ、熱いカレーつけ汁はもったり濃密で、ネギの浮力も相まってそばの進入を許さない。箸で押しつけるようにつけ汁をまぶし、カレーがはねないよう口に運ぶ。
ツユの味を反映し、はじめ甘く、やがて辛みがやってくる。カレーの熱量と冷たいそばの対比が楽しく、口内調味が捗る。豚コマを取り上げて食べれば、アチアチです。
ネギがたっぷりで、カレー南蛮と呼んで差し支えないな。熱が入ってクタクタになったネギを味わっていると、やがてそば湯が運ばれてくるのが町そば屋の矜持ですね。
つけ麺と同様「ぬるい」状態を楽しむ。熱いとゆっくり味わえないし、冷たいと味が引っ込んでしまう。「ぬるい」にも意味があるのだ。最後の1本までそばをつつく。
つけ汁は半分ほどに水位が下がっており、そば湯を入れて半分ほど飲んで、またそば湯を入れて半分ほど飲む。徐々に薄まるグラデーションな味わいを堪能しつくす。
ごちそうさまでした。