裁判官の服が黒いのは、何者にも染まらない、公正中立な立場を示すからだという。黒は単純な色と思えるけどそうでもなく、印刷ならば黒インキにほかの色を足すと深みが出る。
そんなことを思いつつ、黒ゴマで漆黒の担担麺に赤いコーレーグスをかける。唐辛子の辛みが抽出された泡盛なので、かけすぎて酔っ払わないようにしないといけない。
ともあれ深みのある味わいとなったスープの、ゴマペーストの上澄みを掬うように味見する。甘くて、辛くて、うまい。芝麻醤の香りには中華の奥深さを教えられます。
お楽しみの排骨。端っこをつまめばカリカリが嬉しい。中まで熱を通すがゆえに薄切りになりがちな豚の唐揚げ。鶏からと比べてややマイナーですが、潜在能力は高い。
ゴマが濃厚なスープ、旨みぎっしりの排骨にあわせるなら細麺がいいよね。勢いよくすすると跳ねそうで、そろそろとやさしく食べていく。鼻に抜ける辛みが心地よい。
青梗菜の茎をシャクシャク喰めば、青臭さも一服の清涼剤。脂っこい排骨も、柚子皮の香りがアクセントになって、いつまでも食べられそうなバランスのよい一杯です。
「黒の担担麺」の響きは「黒い三連星」に似てるな、などとしょうもないことを考えるのが、悲しいけど俺、アラフィフなのよね。なにはなくとも、おいしいひとときでした。
ごちそうさまでした。