その名を読んでも見当もつかない料理がある。たとえば乞食鶏なんて言われても何のこっちゃですが、丸鶏を蓮の葉にくるみ、さらに土で包んで焼き上げる料理である。
ものを持たない乞食でも作れるから、なんて美味しんぼに書いてあったけど、味は素晴らしいとか。一方で、単に現地の言葉なので意味がよくわからない料理も数多い。
たとえばポタージュなら何となくとろみのあるスープとは想像がつく。これはフランス料理がいかに日本に定着しているかを示しており、さすが世界三大料理といえる。
さて、本日はビリヤニ・ターリー。何度か食べたことがあり、そのたびに調べているのでさすがに記憶している。たしかビリヤニは炊き込みご飯で、ターリーが大皿。
あえて和訳するならばインド風炊き込みご飯定食とでも言えようか。実は先日みたイッテQで、インド映画のRRRが紹介されており、それでまた食べたくなりました。
こちらは本格インド料理店であり、店内は謎のリズムを刻むBGMが大音量で流れ、壁にはガネーシャやハヌマーンが飾られ、店員さんは見たところインド人っぽい。
お客さんも外国の人が多く、店内は英語が飛び交い、異邦人、久保田早紀気分。まずは印僑の店独特のドレッシングがかけられたキャベツを喰む。これこれ、おいしい。
ちなみにこのドレッシング、理研が「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」と名づけて売り出したという。そう言われれば、これも名づけのしにくい料理ですねえ。
さて、主役のビリヤニ。そのまま食べれば長粒米がパラパラとしており、ナッツの香ばしさも相まって非常においしい。ごろごろのチキンも歯ごたえ十分でうれしい。
上部に並ぶカレー風の何がしかを少しずつ味見。左はニンニクの香りが強くて辛い。真ん中は冷たくて、酸っぱさのあと辛い。右は甘辛いと思いきやあとでかなり辛い。
つまりは全部辛いわけですね。ビリヤニをスプーンですくっては、それぞれまぶして食べる。三者三様、みんなちがって、みんないい。長粒米には汁っぽいのが似合う。
とはいえ、スパイスが混ぜこぜになると、辛いだけでなく味がボヤけるので、辛みを茶色の謎のお茶で逃がす。インドだし、冷たいストレート紅茶なのかな、知らんけど。
スプーンを駆使しつつ食べ終え、異邦人について調べると、歌手が改名していて驚く。久米小百合と言われても、乞食鶏くらいピンときませんね。ともあれ、おいしかった。
ごちそうさまでした。