じゃがいもは南米アンデス原産であり、大航海時代にヨーロッパへ伝わり、その後東南アジア経由で日本へもたらされた。ジャガタラからきた芋だから、じゃがいも。
飢饉に備える需要はあれど、本格的に広まったのは明治以降で、肉じゃがのような和食や、コロッケ、カレーのような洋食にも用いられる、スタァ食材の1つである。
日本のカレーのスタンダードといえば、日本軍隊由来のものだろう。じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、豚肉か牛肉。地方や家庭ごと差異はあれど、おおむねそんな具材。
ところが、本場インドカレーの印象としては豆やオクラなどの野菜と、宗教的禁忌の少ないチキンやマトンなどの具材。カレー粉は用いず、スパイスを独自に調合する。
どちらが正誤、良悪ではなく、その日の気分で食べられるのが、日本の食事情の嬉しいところ。印僑のカレー屋さんの日替わりに、じゃがいもを見つけ吸い込まれる。
じゃがいもは傷みやすいこともあり、何日も煮込むような喫茶店のカレーなどに入ることは少ない。自ずと主戦場は数日で食べ切ってしまうような家庭のカレーとなる。
しかし、日替わりメニューなら問題なし。独特の香りの印僑カレーと、ホクホクのじゃがいもと邂逅が実に楽しみで、謎ドレッシングがかかったサラダを喰みつつ待つ。
やってきたのは安定のカレー。スプーンでチラリと舐めるも、いつもどおり、甘みを感じたのち、馥郁たる辛みが広がる。白米と合わせると、その個性が際立ちます。
焼きたてナンは手で持てないくらい熱い。インドでは精製粉を使うナンよりも、全粒粉のチャパティのほうがメジャーらしいけど、日式インドカレーだからいいのだ。
苦戦しつつ、ひと口大のナンを千切りとって、カレーに浸して食べれば、サクサク、ふわふわの食感がおいしい。いわば炊き立ての銀シャリだから、当然かもしれない。
お楽しみのじゃがいもは、芯までカレー味が染みているのにホクホクしており、辛さのベクトルは違えど家庭のカレーっぽい。インドカレーにじゃがいも、ありです。
一方の日替わり具材の玉子。半裁されているけど、すでに赤く染まり、何が何だかわからない。スプーンで探り当てれば白身はツルツル、黄身はほこほこでグッドです。
かなり辛くて汗もかくけど、ラッシーは食後のお楽しみにとっておき、ひたすらナンとカレーを楽しむ。グラスの水も飲み切って、キレイに完食、ラッシータイムです。
ごちそうさまでした。