胃カメラを飲んだあと、回復食にうどんを選ぶ。正確には経鼻内視鏡だったので、飲んだわけではないが、いずれにせよ、喉に違和感を覚えたままのブランチである。
そばよりも胃に優しそうなのでうどんなわけだが、店は何時からやっているのだろうとネットで調べると10時半開店。ジャストぴったり、どんぴしゃりのタイミング。
小腹満たしだからうどんは小でいいや。でも、天ぷら半額フェアなので欲をかいて2つ選んでしまう。これで500円ならお安いものだ。会計後、ネギと生姜をのせる。
水を汲み、席についてダシをゴクリ。いりこかな、海の恵みのような味ににっこり。角がピンと立ったうどんをすすれば、鮮魚のように口中でピチピチと踊ります。
天ぷらはそれぞれ、卓上の塩をつけてガブリ。卵はガリゴリとした衣の中に、サッパリ白身とネットリ黄身が隠れており、不足しがちなタンパク質がとれてうれしい。
野菜のかき揚げは見たところ、ごぼう、にんじん、たまねぎ、さつまいもかな。こちらも堅牢な衣で結ばれており、ゴリゴリとかじりながら野菜の甘さを堪能する。
咀嚼しつつ、先ほど店名の予想検索に「ーー まずい」と出てきたのを思い出す。そうかな、非常に素敵で愉快な味だけどな。何を食べてもおいしい幸せ舌だからかな。
店員の態度が理不尽に怖いとか、清潔感がないとか、明らかなマイナスでなければ、なんでもおいしいと感じる。合う合わないは人それぞれだけど、星1つは厳しいな。
高級店ではあるまいし、少なくとも自分がおいしいと思えばそれでいいのかもしれない。そんなことを思いながらうどんを食べ終えたのち、残るダシに天ぷらを入れる。
食塩によるとがった味つけもいいけど、優しくしみこんでゆくダシもまた一興で、やわやわと降参した衣を楽しむ。先ほど観た胃が、うれしそうに蠕動を始めました。
文字どおり、五臓六腑にしみわたるおいしさです。人間のカラダは食べたもので出来上がるわけだし、どうせならおいしく食べたほうが出来がよくなる気がしますよね。
ごちそうさまでした。