今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 552)四川風花椒麻婆豆腐ランチ with 半餃子

 

胃カメラを飲んだことのある人ならばわかるけど、内臓の実況中継は心臓に悪い。わずかな色調の変化も気になるし、黒ずんでいたりすると、すわっ潰瘍かと気に病む。

 

何年か前、胃カメラの前日に担々麺を食べたところ、医師に「辛いもの食べたでしょう?」と胃の黒点を指摘され、刺激物は胃にダメージを与えるのだと思い知った。

 

そんなわけで、胃カメラまで我慢していた辛いものを食べようと中華のランチへ、四川風花椒麻婆豆腐を注文する。赤さこそ辛さ、シャア専用のごとき色合いを楽しむ。

 

まずは温かいスープで胃を活性化、脳では理解していても、胃は自分の身に何が起こるか、わかっていないのだ。やさしい味で騙されているけど、これから大変だぞ。

 

餃子を酢胡椒で喰みつつ、麻婆豆腐をじっくり眺める。赤いラー油の海のまにまに流氷のように豆腐が浮かび、どうやらひき肉たっぷりで嬉しい。まずレンゲでひと口。

 

熱せられたラー油をふうふうと冷ますも、なおかなり熱い。花椒と唐辛子の風味がきいており、うかつに食べると唇が痛い。大騒ぎとなった口の中を、白米で鎮める。

 

嚥下すれば当然、闘いの舞台は胃に移る。胃の形状がくっきりとわかる刺激で、舌は喜んだけど、胃が悲鳴をあげている。すまない、でも体に悪いものはおいしいのだ。

 

レンゲで麻婆豆腐を食べ、箸に持ち変えるのを横着してそのまま白米を食べる。麻婆丼にしてもいいけど、白米で辛みを相殺するためにあえて交互に食べ進めていく。

 

おでこに汗をかくころ、麻婆豆腐の器には赤潮のごときラー油海が残る。私の体脂肪が富栄養化だな、などと思いつつグラスの水を飲んで舌を洗う胃薬、飲まなきゃ。

 

ごちそうさまでした。