銀河鉄道999といえば、星野鉄郎の成長譚であり、謎の美女メーテルや武骨なメカニックなど、大宇宙をまたにかけた、魅力あふれるロードムービーの側面ももつ。
ロマンあふれる名作であるが、現実はSFの先を進み、古臭く感じるのもやむをえまい。Z世代が999を読んだので感想を聞くと「ふわっとしてよくわからん」そうな。
まあ、そうかもしれない。考証はゆるゆるだし、正直いって雰囲気もんだしね。とはいえ、さすがに一時代を築いた名作だけあって、若人に刺さる描写もあったとか。
「ラーメン食べたくなった」なるほど、それはよくわかる。ラーメンをおいしく食べているマンガといえば、まず小池さん、次いで星野鉄郎というくらいの格付けです。
まだ複雑進化を遂げる前の、支那そばとも中華そばともいわれたころのラーメン。澄んだ醤油スープ、ちぢれた麺、定番の具材たち、そしてお腹を満たすライス付き。
ラーメンライスという炭水化物のデュオはチャゲアスのような強者感が隠せない。これが半チャンラーメンともなれば、ラーメン界のCOMPLEX、輝きを放ちます。
しかし、アラフィフの体には、ラーメンに半チャーハンはちと重い。丈夫な機械の体が欲しいと思いつつ、半ラーメン+半チャーハンセットを選ぶ。足るを知る量です。
右手のスプーンでチャーハンをひと口。具はシンプルに玉子とチャーシューだけど、塩っけがきいて、脳内麻薬がドバッと出てきます。すかさず、左手にレンゲを持つ。
ラーメンスープをふうふう、ゴクリ。油膜がはった熱め濃いめのスープが、米粒と食道に流れ込む。その刺激は、日和った胃腸を殴りにいこうか、と言わんばかりです。
あとは自由時間。メンマをオカズにチャーハンを食べ、太めの麺をすすってはスープを飲み、レンゲに挽き肉、玉ねぎ、もやしを集めてバクリと食べる至福のひととき。
ともすると油でしつこくなりがちな口を、チャーハンに添えられた紅生姜がさっぱりさせてくれる。つい最近、医師に塩分過多を指摘されたのに懲りない私は罪深い…。
しかし目の前のラーメン、チャーハンに罪はない。きれいに食べ終え、いくらか残る米粒を割り箸で摘んで食べると、割り箸にしみた味噌味のスープが、少し塩っぱい。
人は誰でもしあわせさがす旅人のようなもの、と歌われますが、希望の星にめぐりあうのはいつになるやら。とりあえず、グラスの水をおかわりして、塩分を希釈する。
ごちそうさまでした。