今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 625)麻婆豆腐丼

 

麻婆豆腐はおいしい。ひき肉の旨み、豆腐の甘みをピリ辛の餡がまとめ上げ、ごはんのお供としてかなり優秀である。しかし、改めて麻婆ってどういう意味なんだろう。

 

麻とは、中国語で顔にできる天然痘の傷あと、あばたのことをさす。あばたのある陳お婆さんがつくった豆腐料理だから陳麻婆豆腐とよばれるようになったらしい。

 

つまり「麻婆」には料理法や味つけの意味はない。麻婆茄子や麻婆春雨は、中華料理を和風アレンジした際にわかりやすさ優先でつけたとか。人名由来の料理名ねえ。

 

わが国だって、沢庵漬、ハヤシライス、助六などがあるし、「二郎」などはすでにラーメンではなく、二郎という料理であるらしい。後世に名を残す、偉大なことです。

 

さて、本日は麻婆豆腐丼。ライスと別盛の定食ならばサラダ付だけど、今日はひたすら麻婆豆腐とご飯のコラボに耽溺したい。レンゲを差し込んで、まずはひと口めを。

 

最初に香り、次に辛み。咀嚼するうちに豆腐の甘み、やがてひき肉の旨み。濃密な味わいを白米で薄めつつ淡々とレンゲを動かす。麦茶に逃げず、スープで辛みを逃す。

 

定食と異なり丼ぶりでは餡とご飯の比は調整しにくい。チャーハン、あるいは全がけのカレーのように均質な味を堪能し、最後に麦茶で清涼感を得る。ああ、シアワセ。

 

ごちそうさまでした。