うまい、うますぎる。とは埼玉の銘菓・十万石饅頭のコピーであるが、今年は暑い、暑くすぎる。内陸の埼玉はもちろん、ビルばかりの東京も危険を感じる暑さである。
すでに、熱いといっても過言ではない熱気のなか、少ない日陰をたどってそば屋にたどり着く。冷たいのを、ツルツルとたぐって、体の内側から冷やそうって寸法です。
こちらの冷やしは、値は少々はりますが、絢爛豪華な具材が美しい。冷やしたぬきと言いつつ、どう見ても主役は中央に陣取るパイナップル。思わず笑みがこぼれます。
どうせ食べ始めれば器のなかは混沌とするので、ひと口ずつ具材を味わっておこう。煮つけた椎茸、厚焼き玉子、しらたき、なると、きゅうり、本来の主役の揚げ玉。
揚げ玉はチクチクと尖っており、食感が存分に楽しめるぶん、すぐにツユを吸ってもろもろになってしまう。細切りのそばとともにすすり込み、サクサク感を堪能する。
薬味のネギ、ワサビ、紅生姜も手堅い働きで、予定通り体温を下げつつ食事は進む。缶詰みかんを味のアクセントにつまめば、小学生の頃の夏休みを思い出す味です。
あらかた食べ終え、グズグズになった揚げ玉を少しつまむ。お楽しみのパイナップルは食べてみれば3口でお仕舞い。余韻を楽しんだら、また、灼熱のなか歩かないと。
ごちそうさまでした。