稲城の梨。瑞々しくておいしいけど、収穫量が少ないので一般には流通せず、農園の直売や地元スーパー、コンビニでしか売られていない。同じ都内でもレアな商品。
どれだけ流通が発達しようと、果物や海産物など、地産地消でしか楽しめない味があるわけです。それらはやはり旅をする動機になるし楽しみでもある。で、ラーメン。
ラーメン博物館がしかけたご当地ラーメンブームは地方を活気づけた。しかし、北海道から沖縄まで、ご当地グルメのストロー現象も引き起こし、東京が便利になった。
ところで札幌のラーメンといえば味噌。寒い冬でも冷めないよう熱々で提供される。なかでも、純蓮、すみれに代表される純すみ系は、ラードたっぷりが売りである。
福岡から来た知人いわく「北海道で食べたラーメンがイマイチだった。以前福岡にもあった純すみ系の塩ラーメンが食べたい」と。そんなわけで、炎天下の江戸川橋へ。
地元に博多ラーメンがあるからいいじゃんと思うけど、博多ラーメンは白米のようなありふれたものらしい。福岡の知人と都内で北海道のラーメンを食べるという贅沢。
待つこと20分、案内され店内へ導かれ、券売機で味噌と塩を購入する。すみれはラーメン博物館で食べたことがあるけど、ラードたっぷりで実においしかったと記憶。
中華鍋がカンカンと振られ、耳から飛び込む食事の序曲。程なくやってきたのは、大ぶりな丼ぶりだけど、まったく湯気の出ていない一杯。そうそう、こんなのだった。
味噌らーめんは、チャーシュー&細切れチャーシュー、ねぎ、もやし、めんまにおろし生姜がのっています。レンゲをスープに差し込めば、湯気がじわりと出てきます。
ひと口飲めばなんとまあ熱いこと! ラードの脂っけが唇をてらてらに濡らし、味噌のしっかりした旨み、生姜の香りなどが計算したように口腔を満たします。うまし。
みれば知人の塩らーめんはかまぼこのせ。純すみ系の流儀でしょうか。ともあれ、麺を持ち上げれば現れるちぢれ中太麺には、当然のようにスープがよくからみます。
あとは無言のまま、ふうふう麺をすすり続ける。細切れチャーシューはごはんが似合いそうですが、ラーメンライスはさすがに調子に乗りすぎなので、涙を飲んで自重。
熱いし、暑いし、ふわふわしながらも、おいしさのあまり箸が止まらない。すっかり食べ終え、いまだ熱々のスープを未練たらしく、ひと口、もうひと口と飲んじゃう。
猛暑なのに行列ができるのも納得の味。札幌で食べたどのラーメンよりも札幌らしいかもしれないアンビバレンツな感情です。寒い真冬の再訪を誓ってレンゲを置く。
ダイエットは明日から(笑)
ごちそうさまでした。