インドが国名を英語の「インド」からヒンディー語の「バーラト」に変更するかもしれないとか。大叙事詩「マハバーラタ」にもその名の残るバラタ族が語源とか。
植民地時代からの決別と、絶大なブランド力のあるインドの名との板挟みだろう。インド映画RRRをみるとフィクションとはいえ英国の苛烈な支配が印象に残る。
同じような話で何年か前に、グルジアがロシア語読みを嫌い、英語読みのジョージアに国名を変更した。日本だって、諸外国からはジャパンと呼ばれているわけで。
聞けばオーストリアもあまりにオーストラリアと間違えられるので、大使館が日本語表記をオーストリーに変更するとしたが、定着しないまま、間違えられ続けている。
言霊ではないけど、名前は大事ですよね。バーラト料理といわれても、やはりピンとこないし。そんなことを思いながら日印の夢のコラボ、カレー南蛮そばと対面する。
表面は活火山のマグマのようにブグブク泡立ち、その真奥の熱度が伺える。ちなみに死火山、休火山の語はもう用いられないとか。固有名詞も、変わっていくのですね。
飛び跳ねないようにそばをすすれば、カレーの香りと新鮮な辛みが鼻を駆け抜ける。そばの風味は感じられないけど、カレーソースの運び手として、いい働きをする。
前客が半ライスをつけていたけど、その気持ちがわかる。ダシのきいたカレー味は、家では出せない絶妙な味つけ。少しウスターソースを感じるけど、ご飯に合いそう。
ふうふうと汗をかきつつ食べていると、後客が「カレーうどんネギ抜き」を頼んでいる。「豚肉だけになりますよ」と釘を刺されているけど、ネギが苦手なのだろう。
ネギを抜くと、それはすでにカレー南蛮ではないなあ。カレーうどん、って注文していたからある意味正しいのだけど。名詞というのも、正確に使うのは難しいものだ。
そばを食べ終え、残るカレー汁をふた口だけゴクリ。五臓六腑が温まり大満足です。日印の架け橋・カレー南蛮、冬に向け、食べるヒンドゥーもとい頻度が上がりそう。
ごちそうさまでした。